『不動産はあくまで、“真実の収益”で判断するもの』
2016年1月25日「月曜日」更新の日記
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- リートや不動産ファンドなどの活発な流通によって、不動産は金融商品になった、といってよいと思います。これは同時に、不動産が金融庁の所管になったと言い換えることもできます。 もちろん不動産そのものは国交省の所管ですが、「信託受益権化」すれば、金融庁です。 不動産ファンドやリートは、大都市の一等地の、大きな収益を見込める不動産に焦点を当てて購入していますから、当分の間は好調な状態が続くでしょうが、この原稿を書いている最中に、黄色信号の点滅のようなニュースが新聞に載りました。 二〇〇六年五月七日の毎日新聞の記事で、概要は次のようなものです。 「リートを運営する投資法人に対して、金融庁がいっせいに聞き取り調査を始めた。 投資対象として組み込まれている不動産の概要や評価方法を詳しく聞いている。もし急成長するリートの不動産評価が不適切ならば、投資家に損失を与える恐れがあるから、厳しい監督に乗り出したと見られる。 不動産会社が投資法人の設立母体になっている場合に、自社物件の資産評価を高くしたい不動産会社の圧力で、投資法人の不動産評価が甘くなる可能性もある。この場合に利回りは過大評価されてしまい、投資家に大きな影響が出る。 また、投資家から調達した資金以外に銀行などから多額の融資を受けている投資法人も多い。 この場合、これから金利が上がれば、配当が激減したり、投資法人の経営が悪化する恐れもある。 金融庁は今後、証券取引等監視委員会の検査などを通じて、検証していく」 私がひそかに危惧していたものと同じ内容です。 不動産は結局、実際にどれだけ活用され、収益を生んでいるかで判断されるものです。 もし実際以上に評価されて買われているようなことになれば、バブル以外の何ものでもありません。 かつてのバブルは日本の経済をどうしようもない破滅的な状態に追い込みましたから、行政当局には、早め早めにバブルになりそうな「芽」をつんでおきたいという意図がありそうです。 行政当局は、バブルの再来を恐れているのでしょう。 もちろん行政も、バブルの再来を恐れて、規制を強化し過ぎたり、性急過ぎたりすれば、「羮に懲りて膾を吹く」状態になって、せっかくの景気の上昇機運さえつぶしてしまう結果になります。 地価が上昇するのは悪いことではありませんが、不動産はあくまで真実の収益で判断するもの、という基本軸からは、ぶれてはならないと思います。 不動産は私か何度も繰り返して言うように、あくまでそれが有効に使われてこそ、価値を生むものです。 その価値から上がる収益が、いわば利回りの原資となるわけですが、いずれにしても投資家は、リートの実態に注視しながら、慎重な投資をしなくてはならないと思います。
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