へやみけ

トップ > 平成28年4月> 3日

不動産鑑定のあり方

2016年4月3日「日曜日」更新の日記

2016-04-03の日記のIMAGE
 ところで、マクロデータは、量子力学風にいえばあくまでも「波」に過ぎません。「粒子」は決して観測できませんから、解釈に注意が必要でしょう。個別には実にいろいろなことが起きています。その一つひとつをつぶさに観測した人はいません。  仕事柄、S事務所にはさまざまな購入者属性、物件別の事例が集まってきますが、どれもあまりに個性的で、おいそれと定量化できるものではありません。しかも、その傾向は年々強まっている感があります。データベースではそれらを全部寄せ集め、「波」として表現されるのです。  言い換えれば、「住宅市場はいまほうぼうに分解・分散中」です。高度成長が終わり、デフレがなお続いていること、終身雇用・年功序列の崩壊、年金制度不安、住宅に対する価値観の変化、国による新築一辺倒から中古住宅やリフォーム市場への政策シフト、リノベーション事業者の台頭、新しいタイプの賃貸住宅の普及など、要因はさまざまに絡み合っています。B大学客員敦授のS氏は、論文で以下のようなことを述べています。 「市場分析」というのは、統計データを収集し、それを分析することだと思い違いをしている方が多い。市場分析とは、まさに市場を分析することであり、市場の中で起こっている各主体のマイクロな行動を分析し、そのような行動の帰結によってもたらされた価格を分析することである。  これは不動産鑑定のあり方に対する氏の所見ですが、データを読み取る私たちにも大事な示唆を与えてくれます。  アンケートに基づく不動産価格情報は、国交省のウェブサイト「土地総合情報システム」から個別物件の検索ができるようになっています。ただし物件の特定ができないように、住所の枝番までは表示しないなど、やや抽象度を上げた公開方法をとっています。

このページの先頭へ