建て主の主体性
2016年5月23日「月曜日」更新の日記
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- 建て主の「主体性」は、単に住宅の発注者といった意味で重視するのではありません。住宅建設における建て主は、事業主という意味としてだけとらえるべきではなく、基本的に住民・生活者・居住者であることをもっとも重視して考えなければなりません。住宅は居住者の生活全体を支える生活の基盤であり、住宅の形態・性能は居住者の生活実態から導き出され、規定されるべきものです。居住者の生活実態と遊離した形態や性能、たとえば畳の上にカーペット敷いて暮らすことで畳表の調湿作用を無にしてしまうとか、ピアノを弾くのに防音対策がとられていない、エアコンに弱いのに風通しの悪い平面計画などは、生活する者の主体性を顧みることなく設計されたものだと言えるでしょう。こうしたことを考えてみれば、居住者の主体性を無視しては生活実態を明らかにすることなどできず、住宅の形態・性能を適切に設定することもできないことがわかります。このような意味で、建て主自身の考え＝「主体性」を重視するのです。改めて建て主の主体性に基づく住宅設計の考え方を定義するならば、「生活をともにする家族と協議して現状から将来の生活設計を見通し、住宅の形態・性能を決定する条件としての生活の実態と家族像を明らかにすること」と言えるでしょう。
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