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【新しい資金調達の効果】

2016年9月4日「日曜日」更新の日記

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 不動産の証券化はいうまでもなく手段であり、目的ではありません。証券 化か常に有利な方法ともかぎりません。それでも大きな効果として、貸し渋 り対策や新しい資金調達手段を提供することがあげられます。不動産証券化 の効果について、資金を調達する事業主体、投資家、不動産投資市場の三つ に分けて、まとめておきましょう。  まず事業主体側のメリットは次のようにいえます。 資金調達方法の多様化……伝統的な資金調達方法である銀行借り入れや、  株式・社債の発行に加えて、証券化により資金調達が図れます。証券化商  品の魅力があれば、株式や社債の投資家とは別の、新たな投資家屑から資  金調達ができるわけです。 有利なコストによる資金調達……信用力が低い企業でも、優良な不動産を  持っていれば、借り入れなどのコストに比べ有利なコストで証券化による  資金調達ができます。 オフバランス効果……会計処理上、証券化によって資産をバランスシート  から外す(オフ)ことができます。また、調達資金によって借入金を返済  すれば、自己資本比率や、総資産利益などの財務比率が向上します。企業  がリストラの一環として証券化による資産圧縮を行なうのも、オフバラン  ス効米をねらってのことです。 各種リスクのヘッジ……ディベロッパーが、分譲マンション事業や建て売  り事業、あるいはニュータウン内のショッピングセンター事業(テナント  は確定ずみ)などの開発事業に証券化を活用する事例があります。これら  は、開発事業の収益が不確実であることのリスクを、投資家にヘッジする  ものです。  第三者が所有する不動産を不動産会社のSPC法の特定目的会社が購入し、 証券化した事例では、不動産の買い取り転売のリスクを軽減し、運営管理の 手数料収入を確保したと考えられます。ディベロッパーが賃貸中の高級マン ションを証券化した事例では、格付の高い社債のみを発行して、将来の企業 金融における金利上昇リスクをヘッジしています。  実際の事例では、現時点に限れば、企業金融のコストのほうが証券化のコ ストより低いような信用力の高い企業でも、証券化を図っている事例が目に っきます。将来の資金調達コストの上昇を想定して、資金調達方法の多様化 を図っているのです。また、売却後の運営・管理を受託する新たなビジネス が展開できることもメリットです。  または、不良資産の損切り、償却が可能となります。入居保証金や売掛債 権など固定化した資産の活用ができます。反対に大変有利な条件で所有して いる場合、特に回収資金の活用が見つからない場合は、何もしないでそのま まが正解です。証券化して喜ぶのはフィーを稼ぐ関係者だけです。  投資家は、投資機会の拡大、投資対象の分散・多様化、不動産の流動化リ スクの軽減ができます。また、不動産投資市場にとっては、市場の健全化、 活性化が図れます。取引の透明化などを通じ、市場のチェック機能が高まり ます。また、内外投資家の新規参入促進、他の金融資産と裁定の働く多様な 商品の品揃えができます。証券化市場形成による市場規模拡大が図れます。 不動産の収益性、利用価値の重視、不良債権や担保不動産処分の進展が期待 できます。  最後に、このようなビジネスをアレンジ・仲介する各社は、引き受け手数 料の増大、ディーリング取引量と収益の増大、新商品の企画開発による市場 の拡大を期待しています。

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