故意過失に基づく汚損の損害賠償義務
2017年4月5日「水曜日」更新の日記
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- もしベランダの傷みや壁紙、ジュウタンの汚損が、賃借人の故意過失（使用方法が悪いなど）に基づくものであれば、賃借人が損害賠償義務を負うので、敷金から差し引かれることはやむを得ず、敷金を超える損害が発生した場合には不足分も負担する必要があります（ただし、故意過失に基づくことの立証責任は賃貸人にあること、修繕費用額の相当性が別途問題となることに注意）。問題は、故意過失に基づく汚損・毀損ではない場合でも、特約によって賃借人に修繕や取り替え費用の負担を求めることができるかです。 賃借物の修繕は基本的には賃貸人の義務なのですが、特約によって賃借人の負担とすることもできます。ただし、特約すればどのような修繕も賃借人の負担とできるわけではなく、判例上、修繕特約は原則として「小修繕」に相当する部分についてのみ有効とされています。たとえ、「すべての修繕は賃借人の負担」という特約があったとしても、大修繕と考えられるものについては、修繕や取り替え費用を敷金から控除できないことになります。設問の修繕のうちベランダの修繕費用については、ベランダは基本構造物であってその修繕は大修繕であると考えられます。設問の特約のうち、一～三は一般には小修繕と考えられます。四の壁のクロス、ジュウタン、給湯器も、汚損した箇所のクリーニングや部分取り替え、部品交換などの小規模・費用軽微な修繕であれば小修繕の範囲でしょうが、本設問のような全部の取り替えは、通常の場合相当高額の費用を要するので小修繕とは言えないと考えます。
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