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求められるユーザーの意識改革

2018年1月20日「土曜日」更新の日記

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 世界的に高いと言われる日本の建築コストを下げるには、ユーザーの意識改革も求められます。メーカー側が無駄を排除できない、または排除しない要因の一つには、現状を認めているユーザーにも責任の一端があると言えるのです。  例えば、着工後のプラン変更工事の問題があります。建築工事は、設計図に基づいてそれに必要な資材や部材をあらかじめ手配し、施工手順に沿って進められます。ところが、工事途中の設計変更や追加工事は、そうした手順を狂わせるばかりか、資材を必要なサイズにカットしていた場合は返品することもできません。また、段取りの変更は当然、工期の延長となり人件費のアップにもつながります。  にもかかわらず、従来の建築業界ではこの無駄をなくすのではなく、むしろ着工後の追加変更工事で利益を出そうと考える業者も少なくありませんでした。着工してしまえば、ある程度高い見積もりでもユーザーは逃げることができないからです。  一方、ユーザーの意識にも着工後でもプランを変更できるという甘えがあります。むしろ、変更に応じてくれる業者をいい業者と考えている面すらあるように感じます。  着工後の追加変更工事は、着工前の打合せ段階での打合せを密にし、より現物に近いレベルでプランづくりを進めることでほとんど防げます。ユーザーも追加工事や変更工事をなくすことが、建築コストを削減する大きなポイントになるという意識を持つことが大切になります。  ユーザーニーズに応えるという耳ざわりのよい言葉で、必要以上に「媚びる営業」もコストを押し上げる大きな原因になっています。ユーザーが普通、建築会社を選ぶ場合、いくつかの会社からプランや見積もりを出させることが当たり前になっています。しかも、ほとんどの場合無料です。  しかし、この無料がくせ者です。当然、プランや見積もりを出すための経費はかかっています。この経費はどこへ消えてしまったのでしょうか。  何のことはない、支払っているのはユーザー自身です。つまり、経費は住宅の販売価格(請負価格)にオンされていますから、契約したユーザーがその他の契約しなかったユーザーのプラン料や見積もり費用を負担していることになります。無料だからといって、喜んでばかりはいられないわけです。  それと同じことが、営業マンの休日出勤や夜間訪問にも言えます。一見、ユーザーの都合に合わせて訪問する営業は、ユーザーのことを考えているように感じます。しかし、これも余計なコストがかかる問題の営業スタイルです。  当社では、プランの打合せ等でユーザー宅を訪問することは原則として行っていません。 平日、モデルハウス等に来店していただき打合せを行っています。モデルハウスには内装材や外壁材の見本が豊富にそろっているほか、来客の少ない平日なのでじっくりプランの打合せができます。  お客さまには、会社等を休んで来店していただくことになりますが、納得いくまで打合せできるとあって好評です。非常に高額で大切な買い物をするわけですから、会社を休んでも密度の濃い打合せをするほうがメリットが大きいと言えるのではないでしょうか。  コマーシャルや豪華なパンフレットに目を奪われるのも問題です。とかく日本人はイメージ先行で、会社の規模や知名度などに影響される面がありますが、こうした大々的なコマーシャルや豪華なパンフレットにもコストがかかっています。結局はそれらが価格に転嫁されるわけですから、イメージに流されない確かな目を持つことも必要です。 もちろん、これまでユーザーがイメージ優先になってしまうのには、しかたがない面もありました。住宅の品質に大きくかかわる性能面の違いが、なかなか見えてこないため、ユーザーはイメージやはっきり比較できる価格に頼るほかなかったのです。  しかし、住宅性能表示制度がスタートしたこれからは違います。ユーザーは共通のモノサシで住宅の性能を比較することができるようになったわけです。  また、国土交通大臣が指定する公正・中立な第3者機関が設計内容と施工段階、そして完成時に検査を行い、間違いなく契約どおりの性能になっているかをチェックしてくれるこの制度を大いに活用すべきです。  多少の費用がかかることは前にも紹介しましたが、安心の住まいを手に入れるために絶対必要な経費であるとの認識を持つことが大切です。

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