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後悔しない住まいづくりのツボ

2018年1月21日「日曜日」更新の日記

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 「住まいは3度建てなければ、本当に満足する家はできない」。住まいづくりの難しさを表現した言葉ですが、確かになるほどと思ってしまうほど家を建ててしまってから後悔しているユーザーは多いようです。  でも、だからといって3度も家を建て替えられるユーザーはほとんどいないでしょう。そこで、すでに住まいづくりを経験されたユーザーの声に耳を傾ければ、3度建て替えなくても納得の住まいができるはずです。  重複するところもありますが、ここまでまとめてみます。  まず、ユーザーの声で多いのが、1階の間取りと周辺環境との位置関係です。これを考慮しないで自分の家の都合だけで間取りを決めると、隣家の大きな窓とこちらの窓が向き合っていて気まずい思いをしたり、大きな窓が通りに面していて道路を通る人から室内が丸見えとなるため、常にカーテンを閉めておかなければならないといったことにもなりかねません。  事前にわかっていれば、設計段階で窓の位置を少しずらしたり、外構で目隠しフェンスや植栽等で目線をさえぎる対策もとれます。しかし、設計ができてしまってからや着工後に変更することになると、余分なコストや時間をかけることになってしまいます。  また窓の位置を変えると、構造の安定性に問題が出てくるケースがあります。これまでは意外に簡単に変更に応じている業者も多かったようですが、平成13年10月から住宅金融公庫の融資対象の住宅は完成時の検査が義務付けられました。設計審査後の変更にはいろいろ支障が出てくることも考えられるので注意が必要です。  住まいを計画するときは、敷地調査だけでなく自分たちでも周りの状況を調べておくことが大切で、これが1つ目のツボです。  チェックポイントとしては、隣家の大きな窓とこちらの窓が向き合うことにならないか、エアコンの室外機や換気扇とこちらの窓が近すぎないかといった点があります。換気扇や室外機が近いと、窓から排気が入ってくることになります。  そのほか、駐車スペースと道路の関係や交通量もチェックすべきです。交通量の多い道路に面している場合は、騒音を避ける間取りを考えたりクルマの出し入れしやすい駐車スペースにすることが求められます。  次のツボは、平面図だけでなく立体図や展開図でもプランを検討し、高さの関係のチェックをすることです。平面図だけでは高さ関係をチェックできず、家が出来上がったら窓がこんなに高かったという失敗をするユーザーも少なくありません。  特に注意したいのが、階段の明かり取りや吹抜け等に設けるFIX窓です。採光だけでよいと考えFIX(ハメ殺し)にしたところ、高すぎて外側を拭くことができず、汚れて光があまり入らなくなってしまったというような笑うに笑えないケースもあります。メンテナンスも考えて、プランニングすることが重要です。  エアコンと窓の関係も、注意が必要です。天井まで高さのある(イサッシにしたら、エアコンを付ける場所がなくなって困ったというユーザーもいます。エアコンやカーテンは後から取り付けることになるので、取付け位置を確保しながら窓の設置位置を考えることが必要です。  3つ目のツボとなるのが、部屋の配置です。部屋の配置に関しては、自分たちのライフスタイルや使い方をよく考え、家族の集まる場所を中心として間取りを決めていくとよいでしょう。  特に、毎日の暮らしに大きく影響してくるのが家事の動線です。食事を作りながら洗濯したりお風呂の用意をしたりといったケースを考えると、キッチンや洗濯機置き場、お風呂といった水回りはできるだけ近くにあったほうがスムーズです。また物干し場は、日当たりや雨の日のことも考えておくことが必要になります。  最近、共働き世帯が増えていますが、そうした世帯では特にスムーズな生活動線や家事動線が重要になります。浴室乾燥機や食器洗浄機など住宅設備機器で家事の負担を軽減する工夫をすることも欠かせません。  音の問題に関しても、建ててからしまったと思うユーザーが多いようです。2階の床をフローリングにしたところ、スリッパでパタパタ歩く音や子どもが走り回る音が1階に響くなどの問題が生じているのです。  高齢者の部屋の上に子ども部屋を配置するのを避けるとか、遮音材やカーペット等を敷いて音を軽減するなどの対策をとることが必要です。  またリビングを吹抜けにする場合も、リビングのテレビや話し声など音に対する配慮が欠かせません。  トイレや浴室、洗面の給排水音、エアコンの室外機、さらにはガス給湯機の音なども意外に気になるものです。やはり、そうした音にも配慮して高齢者の居室や寝室などの配置を決めることが大切です。  4つ目のツボとしては、収納の問題があります。収納で失敗するユーザーが非常に多いので、再度取り上げます。  ポイントの1つは、使うところにできるだけ収納できるスペースをつくること。例えば、一般的な浴室横の洗面所なら、洗濯洗剤やシャンプー、石鹸、フェイスタオル、バスタオルなどに加えて下着の収納スペースがあると便利です。ただ、動線を考えて廊下だけでなくキッチンなどから出入りできるドアを付けると収納家具の置き場所が問題になります。どちらを優先させるかは、ライフスタイルによって異なってきます。  もう1つのポイントは、3畳くらいの納戸を設けること。ただ、せっかく納戸をつくっても使いにくいと宝の持ち腐れ。どこに何があるかが一目でわかるようにする工夫が必要です。  ダンスを入れる場合は、あらかじめ寸法をチェックして扉や引出しを開くためのスペースも確保すること。照明や換気のための窓または換気扇、コンセントもあると使い勝手がよくなります。  照明やスイッチ、コンセントなどの設置場所も、快適な住まいづくりの5つ目のツボになります。  照明では、明かりの目的とメンテナンスを考えた配置がポイントです。廊下に付けたダウンライトで物入れを照らそうと思ったのに開けたドアの影になってしまったとか、階段灯の位置が高すぎて自分では電球が取り替えられなかったりといった失敗をよく聞きます。 吹抜けの高いところにシャンデリアを設置した場合は、電動昇降機を付けると便利です。  スイッチの位置や組み方も重要です。例えば、玄関のスイッチは靴を履いたままでもスリッパでも操作できる位置が使いやすく、また、高齢者に対する配慮も必要です。少し低めの位置に設置したり、ワイドスイッチにすると誰もが使いやすくなります。  コンセントの数と位置の問題は、新築の住まいで最も不満が多くなるポイントです。電気製品を使う場所ではどんな電気製品を使うのか、またその数をしっかり確認しておく必要があります。キッチンでは、コンセントの数や位置で家事のしやすさが変わってきます。 コンセントが足りなくてタコ足配線になると、安全面からも問題です。  高齢者のためのコンセントなら床から450~900㎜の位置に、また最近流行の充電式掃除機を使うなら収納内部にコンセントを設けてそこで充電できるようにすると便利です。  そのほか、最後のツボとして、意外な盲点となるのが階段や廊下の間取り、そして対面式キッチンです。階段や廊下は、部屋の確保がどうしても優先されるためスペースなどが犠牲になることが多く注意が必要です。  例えば、階段は家庭内事故が最も起こりやすい場所です。万が一、転倒という場合を考えると、踊り場付きの折れ曲り階段が好ましいと言えます。また一段の高さは20m以下、踏み面の幅は24m以上にして手すりを付けることも忘れないでください。  廊下は、建てた後で狭かったり暗かったり、風通しが悪かったということがよく起こります。設計の初めの段階から十分な幅を確保し、2階であればトップライト等を付けることで明るさを確保してください。  対面式キッチンも、生活してみて不満を持ちやすい部分です。家族の気配を感じながら食事をつくれるといったメリットもあるのですが、オープンなため料理の匂いがリビングに届いてしまう、水が流れる音や食器洗浄機の音がうるさいといった問題点があります。対面式にするかどうかは、そうしたデメリットがあることも考慮したうえで選択することをおすすめします。

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