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日本に合った木や土壁

2018年2月26日「月曜日」更新の日記

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 90年代なかばになって、住宅の建材から出る揮発性の有害物質を原因とする健康への悪影響が、大きな問題となってきました。こうした危険な化学物質を放出する建材が多川される背景には、消費者の住宅に対する価値判断が大きく関係しているのではないでしょう  高温多湿の日本には、木や上壁などの呼吸する素材を用いた住宅がもっとも適しています。とくに、軟材といわれる針葉樹系の杉・檜などのムク材は、湿気が多ければ吸収し、乾燥すれば湿気を吐き出す、すばらしい機能をもっています。また、杉や檜の並材を選べば、それほど高くはありません。  安いムク材は、節があったり、ときには割れたり、ひびが入ったり、反りが生じたりと、欠点もあります。とはいえ、自然素材としては、他に例をみないすばらしい機能と強度をもった素材です。欠点をうまく把握し、現代の技術と先人の知恵に学び、うまく使わせていただくという気持ちも必要でしょう。  ところが、ひびや割れ、節のない木がよいといった、見ばえや機能ばかり重視する志向が、60年代から強まってきました。木の特性(節がある、割れる、ひびが入る、反る、仲び縮みする)を知らない消費者や大工さんが増え、柱に少しでも割れが入ったり、節が多かったり、床板の間に隙間が現れたりすると、消費者はすぐクレームを言うようになりました。工務店でさえ、木の特性やムク材の本当の価格を知らないまま、安くて見ばえのするクレームの発生しない素材へと流れていったのです。

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