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断熱と気密の役割

2018年4月6日「金曜日」更新の日記

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 結露させない家にするためには、家全体を均一な温度にすることが必要だ。温度差が生じると、水蒸気が温度の低いところに集まり、結露が発生してしまう。水蒸気には温度の高いところから低いところへ動く性質があり、暖かな室内から寒い室内や押し入れ、ダンスの後ろ、さらには壁や床下、屋根裏などに侵入して、拡散されないと結露が発生してしまうのだ。  家全体を均一にするためには、全館暖房(全室暖房)という方法があり、ドイツやスウェーデンでもこの方法が、建築物理学上、つまり水蒸気理論上正しい方法とされている(日本は部分暖房を習慣としている)。  ここで問題となってくるのが、エネルギーの省力化だ。家全体を常に均一の温度に保つために使うエネルギー量は、なんらかの対策を講じなければ莫大になってしまう。そのために必要なのが「断熱と気密」なのである。  断熱とは、ある素材を使って屋外からの熱を屋内に入れないように遮断し、エネルギーの消費を抑えながら、室内の温度を快適に保つために生まれた建築の方法だ。  そして気密とは、断熱によってコントロールされた熱を屋外に出さないように保つための方法で、常に断熱とセットで用いられる。一般に、隙間を極力なくすことで高い気密性が得られる。  日本では、よく高断熱・高気密住宅という表現が用いられているが、正式な数値基準があるわけではない。あえてこの表現を建築会社が使用しているのは、かつて日本の住宅が一般にペラペラ・スカスカであったことに対して、性能の高さをアピールするためのようだ。  諸外国では、具体的な数値で示されているので、とくにこのような表現は必要ない。そもそも、断熱・気密による家づくりはあたりまえなのである。  日本では、高断熱は普及しているようだが、こと気密については議論が分かれている。高気密よりも中気密かいい、あるいは低気密でないと息がつまるのではないか、などと言う人もいる。しかし、すべて数値にもとづく議論ではなく、感情論、感覚論に終始している。  中気密・低気密を感覚的に推進する人たちは、換気を気にするあまり、適度の隙間が必要だと考えているようだ。しかし、換気隙間をつくれば屋外の水蒸気や熱が屋内に入ってくる。そうなると断熱の役割が低下し、断熱欠損の起こった部分で結露が発生する。このように、気密というのは常に断熱と一体になっているのだ。  外気からの熱と水蒸気を防ぐために気密は高いレベルでなくてはならないし、気密と換気とはもともと別問題だから、高い気密を保ちながら、効率的な換気をおこなうことはいくらでも可能だ。

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