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「工事管理」とは

2016年7月30日「土曜日」更新の日記

2016-07-30の日記のIMAGE
『管理/監理』「管理」は一般的な意味で、ある意図の下に事象をコントロールする、ということと同じです。「工事管理」とは工事をうまく運ぶために全体を見通してコントロールすることです。「工程管理」であれば作業工程の進行状況を計画したり刻々と対応することです。「監理」は監督してチェックすることです。設計者は自分では施工を手がけないことが普通です。ですから自分が図面を引いて設計した建物を、施工業者がきちんと建てるかどうかをチェックすることも重要な業務になります。「設計・監理」と使うことが多いですが、設計した本人が現場に出向いて監理を行うというのが通例だからです(最近は設計と監理を分離して発注する例も出てきました)。「工事監理」と書けば監理者が工事が図面と適合しているかのチェックすることで、工事の状況をコントロールする「工事管理」とは別の業務です。施工会社の工事管理や設計者による監理は、設計図書に沿った適切な施工を保障し、不良工事を防止するために行われるものです。しかし、この仕組みがうまく働かず、不良工事が野放しにされていることで、欠陥建築が発生しています。施工会社の社内管理は、工事を十全に進行させるためにではなく、自社の利益を守ることが目的となっているかのようです。施工管理が適正な施工のためにではなく、採算の確保やクレーム防止のために行われているようにも思えます。適正な施工をめざすという本来の役割が果たされないことで欠陥が発生し、後々大がかりな補修工事が必要になるなど、かえって施工会社自身の利益も損なうような結果になっています。欠陥の発生では、管理が不十分というよりも、それが建て主の利益を守るという姿勢によるものではなく、建て主の意向や期待と関わりなく、もっぱら自社の都合によって行われているところに問題があります。建築基準法に内容が定められている設計者による監理も、ほとんど、あるいはまったく行われているようには見えません。設計者にこそ建て主の利益を守ることがまず第一に求められますが、工事業者が設計・施工一貫で請け負うケースが非常に多く、建て主の利益を守り、有益な空間を実現させるという設計者本来の役割を果たす存在が、最初から見あたらないのです。これでは厳密な監理など期待できるはずもなく、不良工事が素通りしてしまうのも無理ありません。

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