【他の不動産会社を刺激する物件】
2016年9月22日「木曜日」更新の日記
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- 某Sマンションでは、リビングとベッドルームの配置のしかたを、南側の日当たりを選ぶのか、それとも北側の川沿いの眺望を選ぶのか、購入者のお好みで変えられますという、リバーシブルプランという試みがユニークだった。和室を洋室に変えられますというような、単に表面的なプラン変更だけを宣伝している不動産会社が多い中で、購入者のライフスタイルに合わせて日当たりと眺望を選ぶことができる、という発想には他の不動産会社も注目してほしいものだ。プライバシーの確保や本物の素材を使うことにこだわった、Eマンションでは、他の物件には見られない新しい試みが随所に見られた。角住戸をできるだけ多く供給するという計画で、和室はリビングの一部というイメージを明確に打ち出した新和室や、玄関やバスルームの窓から直接眺めることのできるプライベートガーデンを設けたSマンションも、住まい方に対する不動産会社からのメッセージが伝わってくる。この種の物件について、他の大手不動産会社の企画担当者に感想を訊くと、たいてい否定的な意見が聞こえてくる。かれらにいわせると、そういう突飛な企画は後々クレームの対象になる可能性が高いというわけだ。ベッドルームとリビングルームをリバーシブルにするということは、ベッドルームの上に、上の階の住戸ではリビングを計画することになるかもしれない。そんな試みは、ベッドルームの遮音性を考えたらとんでもないというように、新しい試みにはクレームへの不安から否定的な意見が出される。本物の素材を使用することについても、本物の素材だからこそ避けて通れない素材としてのムラがかえってクレームの対象になるというわけだ。まず、購入者の立場に立った新しい企画の発想ありきで、それを実現するために、クレームへの不安を最小限にするよう策を練るというのが不動産会社としてあるべき姿勢だと思うのだが、現状はそのまったく逆である。多くの不動産会社は、新しい企画の発想よりも、とにかく、のちのち購入者からのクレームをいかに回避するかということだけにしばられている。何かいままでとちがうことを建物に実現すると、それが新たなクレームを生むのではという不安が、発想そのものを押さえつけているようだ。自由な発想をどんどん反映していかないことには、マンションという住まいはますますつまらないものになってしまうだろう。野村不動産には販売代理としてかかわるマンションにおいても、他の不動産会社を刺激するような物件を積極的に発表してもらいたいものだ。
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