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物件は当然、値切って買う

2016年10月23日「日曜日」更新の日記

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先ほども触れましたが、あらためて値切りについて念押しさせてください。敢えて直截的な物言いをしてしまえば、私は「値切りをする根性がない人間は投資をするべきではない」とすら思っています。不動産というものは「基本的に掘り出し物はない」とすら言われる業界ですが、逆に言えば統一価格もないということです。だからこそ、時には大当たりと言える物件に遭遇することもあるのです。時折、「不動産なんて面倒くさくてしょうがない。早く手放したい」といった人が、とんでもない条件で売りに出すこともあります。極端な話、そのような「投資を面倒くさいと感じるようになった欲望の尽きた投資家」の売り出す物件のみをターゲットとすることができれば、投資など成功したも同然です。欲望は人や企業を介在すると、「利益」という形で可視化されます。すなわち、まだ欲望の残っている人の売り条件をそのまま飲んでしまうと、自分の利益が大幅に減ってしまう!その欲望は、自分の「値切りたい」という欲望でもって、できるだけ相殺するべきです。そして、肝心の値切るための戦略ですが、納得できる根拠を用意して交渉に臨んだ結果、思ったように値切れない物件は、そこで買うのを諦めてしまいましょう(もちろん、大して値切れなくても利回りなどが申し分ない場合は除きます)。章末のコラムで、私が半値以下に値切った物件の例をご紹介しますが、そこまでの値下げ幅は滅多にないにせよ、自分なりに納得できる根拠を揃えた結果、大幅に値切ることができる物件だからこそ、値切るだけの価値があるというものです。その根拠に自信を持てるだけの経験値があってこその話ですが、どうかその感覚を信じてください。必ずその感覚による値付けを受け入れる売主が現れます。正しい指値で断ってきた売主は、あなたの感覚が正しいことを知りつつ、その売値で騙せる投資家が存在することを知っているのです。あなたのことはさっさと忘れて、そんな投資家が針にかかるのを待とうと思っているだけです。相手にするだけ時間も金も損をします。また、本書をご覧の方は、ちゃんとしたお仕事をされながら、投資をしている、または始めようと考えている方が多いと思うのですが、実はそのような方々は値切りに向いています。どういうことかと言えば、何よりも担保を求める金融機関にとっては、年収1000万円の中小零細企業の社長よりも、500万円の一部上場企業の社員のほうがお金を貸しやすいのですが、物件の売主もそのような信用度を買い手に求めているのです。たとえば、1億2200万で売りに出ている物件を8000万円なら買いだと思い、相談したとしましょう。そこで「8000だと厳しいですねえ」などといった答えが来た場合、それはまだ含みのある状態なのです。本当に論外であれは即座に交渉は終了となります。このような場合、既に金融機関のローン申請が通っていたり、一括で支払うことのできる買い手であれば、OKが出る可能性があります。仲介業者はさんざん書類を用意したのに、ローンが通りませんでした卜となってしまうパターンに辟易としているのです。ですから、売主から見て不満がある金額でも、既に支払いに不安がない状況であれば、業者も手間が大きく省けるので、その分「売主さんを説得してみます」と食いついてくれるのです。手堅いお仕事を持っている人は、売主にとって最高に魅力的な買い手なのです。ローンが通っていて、「この轡類を用意してください」といったお願いを素直に聞いてくれて、期日を守ってくれる人には、仲介業者も「この人で決めずにどうする」と力を入れてくれます。自分がそういう人間だと自覚を持っている投資家は、どんどん強く出ればよいのです。反対に、融資が必要だけどローンはまだ通っていない、頭金もそれほどない――といった人は、根切り交渉でも強くは出られません。

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