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八角形なら2世帯住宅に威力を発揮

2018年2月10日「土曜日」更新の日記

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 このところ、2世帯住宅を建てる方が非常に増えてきています。特に都市部では、「新規に着工する住宅の五割以上が2世帯住宅」というデータもあるほど。八角形住宅を首都圏で建てる方をみても、確かにその半数以上が2世帯住宅です。なぜこれほどまでに2世帯住宅が増えているのでしょうか。  理由はいろいろありますが、若い世代が都心にマイホームを持つことがきわめて困難になったということが最大の理由なのではないかと思っています。  バブル崩壊後、土地の価格はかなり下がったのも事実ですが、それでも都心に土地を買って家を建てるとなると、若い夫婦にはやはり手が届きません。それなら、通勤に片道2時間もかかる郊外に家を建てるか、あるいは、狭くても職場に近いマンションを買うか、そういう選択肢になってくるでしょう。  そこで魅力的な手段が2世帯住宅というわけです。つまり親の土地を使い、親の世帯と子の世帯が一緒に住めば、土地代はかからないし、家を2軒建てるよりは、はるかに建築費が安く上がります。そのうえ、2世帯住宅であれば、住宅金融公庫や年金住宅融資などで割増融資も受けられるなど、経済的なメリットはかなり大きいといえるでしょう。  また、実際に住んでからの利便性というメリットもあります。つまり、どちらかの世帯が家を空けても安心ですし、子の世帯にすれば、たまには子どもを親に預けて夫婦2人だけで出かけることも容易にできます。それに親からすれば、いつでも孫の顔を見られるという楽しみもあるわけです。  さらに言えば、今は元気な親も、やがて高齢になったら介護の必要が出てくるかもしれません。そんなときも、2世帯住宅であれば安心なわけです。  さて、それでは2世帯住宅はどういうものをつくればいいのでしょうか。実は、この問いに正解はありません。2世帯住宅ほど、模範となるモデルがっくりにくい住宅は他にはありません。要するに、こればかりは、両世帯が徹底的に話し合って、それぞれが合意してもらうしかないのです。  一つ屋根の下に価値観の違う2つの独立した世帯が住むのですから、すべてを独立させて2つずつ設置して住むこともありうるでしょう。つまり二世帯が隣り合うマンションで暮らしているようなものです。しかし、これではせっかくの二世帯住宅にする意味が半減してしまうでしょう。階段もお風呂もキッチンも何もかも2つずつつくったのでは、経済的にもメリットは少なくなります。  全く逆に、例えば寝室だけは別にして、あとはすべて共用するという住まい方も可能でしょう。これは、かなり「同居」という色彩が強いものになります。  あとは具体的に話を詰めて考えていくしかないでしょう。 「何を共用にしたいのか」「何は独立していなければいけないのか」「玄関やキッチン、食堂、お風呂はどういうつくりにするのか? お互いの世帯を行き来できるような扉などは必要か?必要なら、それはどこに幾つ?」など、具体的に決定していただいて、初めて住宅メーカーとしては、プランを提示できるという段取りになるのです。  2世帯住宅を考える場合、家を縦に切るか、横に切るかというのも大きな問題です。縦に切るというのは、2世帯ともに2階建てにするということです。横に切る階は親世帯、2階は子世帯という分け方をいいます。  私は個人的には、将来の介護のことや、親の体力の低下を考慮すれば、横に切って1階に親世帯、2階に子世帯というのが二世帯住宅の基本ではないかと考えています。でもこれは、あくまで私個人の考えであって、これはやはり両世帯で決めるべき問題です。  しかし、土地の立地条件やそれぞれの好みもあるでしょう。話し合ったからといっても、なかなか理想通りには進まないことがあっても不思議ではありません。  ただ注意していただきたいのは、縦に切った場合、立地条件次第では、日当たりなどで、2世帯間に非常に大きな差が生じる可能性があるということです。   例えば、東向き、あるいは西向きに道路と接しているような土地では、縦に切った2つの住宅は、南向きと北向きの2つになってしまいます。かたや明るく日が差し込み、かたや日が当たらない暗い家になってしまうのです。  仮にそうではなかったにしても、2世帯の接する面は、窓には使えません。通常の四角い家であれば、それぞれが3方向にしか、窓を付けられないという不都合が生じてしまうのです。  そこで威力を発揮するのが八角形住宅です。八角形住宅でも、接する面は使えないことには変わりありませんが、その他に5方向から7方向に窓をつくることが可能になります。 つまり、先の例で北向きになってしまった方の家にも、南東や南西側からの日が入るような家をつくることができます。  さらに四角い家で縦切りの2世帯住宅をつくると、道路側に玄関が隣り合って並んでしまいます。だから何が悪いというわけではないのですが、1つの建物の正面に玄関が2つ並んであるのは、どうも見た目が良くないと思う方もいらっしやいます。そうした場合に、八角形住宅であればお互いが見えない方向に玄関をつくることも可能です。  つまり、八角形にしておけば、さまざまなニーズに応じた対応が可能です。だからこそ2世帯住宅のように、複雑なニーズをどちらも満足させなければならないようなケースでは、八角形住宅はその威力を発揮するのです。  ということは、2世帯が2世帯とさらに複雑になれば、それだけ八角形の威力を発揮できる場面もさらに増えると考えてよいのではないでしょうか。

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