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木のぬくもりとゆとりの設計

2018年2月16日「金曜日」更新の日記

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 フィンランド住宅は、ある意味で非常にハイテクを駆使した住宅である。しかしその反面、天然木をふんだんに配し、木の香り漂う自然志向の家でもあるのです。  これは一見、矛盾するように思えるでしょうが、矛盾というよりは、ハイテクのいい部分と、自然のいい部分をそれぞれ取り出して、いいところだけを集めた家という方がより正確な表現なのかもしれません。  床材はもちろん、室内の壁にパイン材等のムク材を使用したフィンランド住宅は、中に入ると、一瞬ログハウスにでもいるような錯覚すら覚えます。天然木の持つ独特の暖かさと清潔感があり、色つやも美しく、肌触りも柔らかです。また、木が本来持っている調湿効果は室内に適度な湿度を保つのを助け、人の健康に役立つ森林浴のような効果すら期待できるのです。  こうした人への優しさは、素材だけでなく設計思想にもしっかり反映されています。すなわちフィンランド住宅は、バリアフリー住宅としても非常に進んだ住宅です。  北欧諸国は、ご承知のように社会福祉が非常に充実していて、住宅におけるバリアフリーという考え方も随分と早くから取り入れられ、義務づけられてきたのです。ですから、今さらとやかく言わなくても、ごく当たり前に、高齢者に優しい家づくりを実現しているのです。  日本は、いまや世界一の長寿国となりました。しかし、住宅だけでなく、街全体、そして社会全体のバリアフリーに対する意識はまだまだ遅れているのも事実です。フィンランド住宅は、これからバリアフリー住宅を建てようと考えている方にとっては、学ぶべき点がまだまだ多い住宅ではないかと自信を持っています。  具体的に説明すると、まず、フィンランド住宅では、メーターモジュールですから、廊下の基本幅は1メートルになっています。これは車椅子でも楽に通行できる配慮がされています。また、出入り口の床段差はすべて解消されています。  また、危険個所である階段は、勾配ができる限りゆるやかに設計され、手すりを付けて転落や転倒の防止をしています。さらに夜間の昇り降りでの視力の低下を考慮して、足下灯も設置。階段の安全性には十分な配慮がされています。  さらにバスタブは、無理なく入れるような高さにセットされ、洗面所やトイレにも十分な広さが確保されています。こうした心地よさは、長く住めば住むほど実感できるもの。 フィンランド住宅を見ていると、バリアフリー住宅とは、結局すべての人にとって優しい住宅なのだということが本当によくわかります。

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