「孤食」と「乱杭歯」の示すもの
2018年3月3日「土曜日」更新の日記
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- 子どもがたった1人で食事をする「孤食」がふえている。
どうして孤食になるか。
家族相互の生活時間がズレているからだ。
父親は遠距離通勤のために朝早く出勤してゆく。
母親はそのために食事の用意をし、父親を送り出してしまうと眠いのでまた寝床に入ってしまう。
子どもの食事の用意だけはしてで、子どもは起きてから1人でそれを食べ、勝手に登校する。
子どもが学校から帰ってくるとテーブルの上におにぎりとかインスタントラーメンが置いてある。
塾へ行かなければならないので、とりあえずそれを流しとむように食べてまた出かけていく。
塾から帰ってこれるのは夜の8時か9時。父親はさらに遅く、10時とか11時ぐらいに帰宅する。
母親がパートで働いていたりすると、食事に手間ひまをかけていられなくなる。
家族みんなが。バラバラに生活しており、いわば家族全員が下宿人のような生活なのである。
子どもばかりでなく大人も孤食を強いられている。
孤食がなぜよくないか。
中華料理を食べることを考えてみるとよくわかる。1人で食べる場合は、1品か2品を注文するだけだろうが、これが3人、4人となれば注文する品数も当然ふえる。
肉あり野菜あり魚介類ありで、栄養のバランスもとれてくる。
それと同じで家族が4、5人で一緒に食卓を囲めば、同じものばかりを食べなければならないということは避けられる。少なくと3、4種類の料理は出て。バランスよい食事ができよう。
しかし、1人のためにそれだけの料理を用意するのは大変なことだ。
いきおい一品だけとか、パンとコーヒーだけとかいうことになてしまう。
孤食がよくないのは子どもだけにかぎったことではないが、発達するために十分な栄養を必要としている子どもたちには特に悪い結果をもたらしてしまうのである。
朝、食事をしてこない子どもが多いといわれているが、食事をしてきている子どもでも、その内容は非常に貧しい。パンとコーヒーか紅茶またはジュース。よくてそれにくだものがつくぐらいだという指摘もなされている。こういう朝食内容では、午前中は授業に集中できず、体育の時間などには事故につながる危険がある。胃腸のはたらきにも影響し、腹痛や吐き気の原因にもなる。
また、このごろ街を歩いていて見かける子ども、あるいは電車の中でしゃべっている子どもに乱杭歯の子が多い。
びっくりするほど多い。
テレビで見かける若いタレントや歌手にも多い。
得に女の子に多い。
どうしてこんなに乱杭歯が多いのか。
むろん私は歯の専門家ではないから想像にすぎないのだが、幼い頃、硬いものを食べないので、あごが発達せず、歯がちゃんと育たないということもいくらか作用しているのではないか。
カレーライスやうどんやラーメンやおにぎりやコロッケといった軟らかいものばかり口にしていれば、噛む必要がない。
それもインスタント食品となれば栄養にもかたよりが出てくる。
しっかり噛まないとあごが発達しないのに、そういう食事が少ない。
そして子どもが軟らかいものばかり食べさせられる背景には、住生活の様式も大きく関わっているのではないかと思う。
よくいわれるように現代の若い母親が一般に家庭料理をつくることに不熱心であったり、栄養知識に欠けていたりするということもあるのだろうが、右に挙げた孤食を発生させるような生活様式、そしてそれを生み出す背景に現在の住宅事恰もからんでいるのではないだろうか。お母さんがゆっくりと買い物をし、料理をし、家族がそろって一家団らんを楽しみながら食事をするような生活をしていれば、乱杭歯も減るだろうし、ちょっと転んだだけでも骨折するような骨の弱い子どもは育たないだろう。 何十万円とかかる矯正歯科医に子どもを通 わせている犯人は、子どもの健康を考えないお母さんの料理、それから現在の都市と住宅事情であるように私には思えるのだが、どうだろうか。

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