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住んでいる人が管理人だ、という考え方

2018年3月13日「火曜日」更新の日記

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 最近イギリスでは、上から押しつける管理ではない、自主管理を中心にしようとする住宅運動が進んでいる。 自主管理とは、そこに住んでいる人たちが管理にたずさわらなければ、本当によ い住宅や居住地はできないという思想に基づいている。 そうしないと、住まいをよくする能力も 発展しない。  社会は市民によって構成され、市民に主体があるはずだが、上から管理された団地などでは自治体や公団のおしきせになってしまう。 居住地を本当によくするためには、与えられるのではなく、住民が参加していくことが必要なのである。  たとえば花壇があったとして、そこに自分たちで花を植えて育てていれば、その同じ人間がそれを折ったり踏みにじったりはしない。 市や公団がつくったものであれば、枯れようが盗まれようが知ったことではないという気持になってしまう。 団地内の道路やオープンスペースの清掃についてもまったく同じことがいえる。イギリスの公共住宅団地では、家賃を構成する住宅の管理費の一部を居住者の組織に渡し、自主的な管理を促進させる方法をとっている。  ロンドンの北東90キロほどのところにミルトンケインズという団地がある。 この団地は、最初から住民参加・住民管理を想定してつくられたという点で非常にユニークである。 つまり基本的な施設だけをつくっておいて、あとの細かい施設は住民たちの要望に応じて整備していこうとしている。 住民たちが集まって、ここに保育所が欲しい、ここに薬屋が欲しい、ここに公園をつくろうと決めて、公団はそれに従って施設を充実させていく。  建築家がすべて机上のプランで設計して、完全なかたちで団地の諸施設をつくってしまうと、いくらよく考えたつもりでも、実際にはあまり利用されなかったり、住民から不便だと苦情の出ることが多い。 それに対してこの方法は団地づくり、街づくりへの住民参加を計画的に進めようというものだ。 団地ができてか3年問は公団が管理をして、そのあとは住民の自主管理にゆだねることになっている。  オクビア・ヒルの時代からの自主管理制度の歴史、その中で大きく育ってきた、住む能力を発展させるというイギリスの確固としたパックポーンを考えさせる例だ。

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