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タダより高いものはない

2018年3月23日「金曜日」更新の日記

2018-03-23の日記のIMAGE
 メーカーによっては〇〇万円出さないとプランは書けませんというところ、敷地調査は無料というところなど、各メーカーによって対応はバラバラのようです。よくある例では「敷地調査は〇万円、プラン・見積りは無料」、「敷地調査・プラン・見積りまですべて無料」、あるいは「敷地調査とプランに〇万円支払えば見積りは無料」といったところでしょうか。さて、そこであなたはどのメーカーを選ぶのかということになれば、どうしたって「すべて無料」というのに惹かれてしまうのではないでしょうか。しかし、世の中、人が動いてタダということはあり得ないのです(ボランティアは別として)。まして、一見のお客として敷地調査やプランニングなどを頼んだ場合に、まったくの見返りなしに無料でやるというメーカーなどあろうはずがないではありませんか。それなら、どこにその費用が入っているのかというと、ちゃんと家本体の価格に含まれているんですよ。だから、「無料です」なんて言われて喜んではだめなんです。逆に、「これをやるためには〇万円かかります」と言われたほうがわかりやすいし、フェアだと思いませんか。それに、無料でやってもらうお客さんの立場からすれば、「タダでここまでやってもらっちゃって…」という思いが無意識ではあっても心理的な負担になって、その後の交渉ごとに対して遠慮してしまうということになりかねません。「このメーカーに家づくりを依頼しよう」と決めたわけではないのに、「タダ」の魅力に惹かれて依頼したばかりに断りにくくなって、それほど気に入ったプランではないのにそのメーカーに決めちゃったなんていうケースも実際あるんですよ。そんなことでメーカーを決定してしまっては、十中八九、満足な家づくりができるとは思えません。建主が自主的に選んだわけではないので、必ずどこかにズレが生じて不満が残るに違いないからです。まさに「タダより高いものはない」ことを実感することになってしまいます。そんな思いをするくらいなら最初からビジネスライクに、お金は払うかわりに気に入らなければはっきり断るぐらいの気持ちで対応したほうが、私はいいと思うのですが…また、きちんと金額を提示してくれるメーカーのほうがかえって安心できるし。割り切れていいと思います。こんなことも、メーカーを選ぶ際の目安にしてください。ただ、契約を決める前のお客さんというのは、お金に対してシビアで必要以上に出し渋る傾向があります。たとえば、敷地調査などは5~6万円ほどでやれるのですが、それがけっこう高いように思えるらしいんですね。だから、安い金額で、あるいは無料でやりますなんて言われるとすぐ飛びついてしまうわけ。ところが。いったん契約して建築が始まると3万、5万なんて紙切れ同然(極端に言えばの話ですが)です。なにしろ、何千万円という高い買い物です。当然、扱う金額も大きくなるので、金銭感覚がマヒしてしまうせいでしょうか。それなら、始めからケチらなければいいのにと思ってしまいます。ふだんのお金の使い方でも、同じことが言えます。たとえば、スーパーでの買い物では1円、2円にこだわって物を選ぶのに、別のところではあれっと思うような無駄使いをする人もいますね。一点豪華主義だとか、それがその人のこだわりならいいのですが、そうではなくて。気まぐれでやっている人の場合は考えものです。日用品の買い物ならいざ知らず、家1軒となれば問題です。敷地調査の数万円を惜しんで、たとえば地盤の調査をカットしたために、住んでからしばらくして家が傾いてきたらどうでしようか。もちろん、信頼できるメーカーなら、その土地の地盤がしっかりしているかいないかはある程度把握しているでしょうから、必要なら調査をするようアドバイスしてくれると思います。しかし、そうでない場合は悲惨なことになりかねませんね。建ってしまってからでは、もう遅いのですから。そんな時、「私たちは素人なんだから、調査をしなかったメーカーのほうが悪いんだ」と主張したところで、それを依頼しなかった建主のほうがもっと悪いということになるかもしれません。まあ、そんなことにならないまでも、あまり高いの安いのとお金のことばかりにとらわれていると、物事の本質を見逃しかねません。

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