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気密の役割

2018年4月11日「水曜日」更新の日記

2018-04-11の日記のIMAGE
 熱は住宅の中からどのようにして逃げていくのだろうか。それには2つの場合が考えられる。1つは屋根、壁、窓などの家の外周の各場所から逃げていく場合、もう1つは断熱の隙間を通って逃げていく場合だ。  たとえ屋根、壁、窓の断熱性能が高まったとしても、断熱の隙間があればそこから暖かい熱は逃げていき、逆に冷たい熱が入ってくる。これによって、全体としての熱損失の比率(熱損失を係数で表現したものを熱損失係数と言い、Q値とも呼ばれている。これは建物内外の温度差が1℃のとき、建物内部から外部に逃げる熱の量を床面積1平方メートル当たりの値として表した数値で、この数値が小さいほど熱性能が高いといえる)が高くなってしまう。  気密のレベルを高くすれば、この熱損失を防ぐことができる。  さらに、気密工事によってつくられる気密層には、水蒸気によって湿気を帯びた空気の出入りを防ぐ役割もある。構造上この気密層に隙間がたくさんできてしまう「内断熱」の住宅では、湿気を帯びた空気がいたるところに入りこみ、これが原因で結露が発生し、甚大な被害につながってしまう。  住宅の断熱性能の良し悪しは、断熱材や断熱窓以上に、この気密が決め手となる。断熱材を構造体の周辺に隙問をつくることなくいかに張り巡らせ、結果的に気密性を高めるかが重要なのだ。  どんなにすぐれた断熱材を使用しても、断熱の途切れる隙間があっては断熱工事は意味をなくす。気密のレベルを高めるうえでも有効なのが「外断熱」である。  このように気密というのは、あくまでも断熱と一体であり、断熱と気密による効果で熱をコントロールすることができる。最終目的は結露の防止であり、住む人の健康を守り、住宅を長命化することなのである。  また、高気密にすると換気不足となり、室内の空気が汚染し健康を害するというのは、誤解だ。気密というのは断熱性能を高めるためになくてはならず、換気とは別次元の話なのだから。

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