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自然換気か機械換気か

2018年4月13日「金曜日」更新の日記

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 自然換気とは、まず住宅の気密性を高めて自然の風に左右されないようにしたうえで、風の流れと温度差などを想定して空気の出入りをコントロールできるような位置に、窓や給排気口をつける方法である。動力を使わないためにエネルギーがかからず、もし、これだけで十分な換気が実現できれば、もっとも理想的だ。  しかし、夜間に窓やドアを開けるのは防犯上危険だし、冬の寒いときや雨のとき、あるいは風が強いときや台風のときなども自然な空気の入れ替えは難しい。  そんなことから、自然換気によるコントロールよりも、さらに確実な計画換気が必要とされた。そこで登場したのが機械換気である。  機械による換気というと、多くの人はキッチン、浴室、トイレなどについている換気扇を想像するだろう。しかし、これらは排気シャフトによって空気を外部へ排出するものであって、外部から新鮮な空気を取り入れるものではない。すなわち、給気としての役割はないのだ。浴室などを換気すればわかることだが、通常2~3時間もすれば浴室内は乾燥してくる。これは浴室内の熱を外部へ逃がすことによって水蒸気も拡散し、水蒸気の量が減るからだ。  室内の換気装置は毎時間0.5回以上の換気を確保しなくてはならない。  だが、必要以上に換気すると逆に室内の水蒸気まで外部へ出てしまい、室内の空気が乾燥しすぎてしまう。乾燥しすぎると、アトピー性皮膚炎の人は症状が悪化するし、そうでなくとも、風邪をひきやすくなったり、のどの弱い人はのどを傷めたりする。あくまでキッチン、浴室、トイレの換気は、料理するときや入浴後などに限って使用することをおすすめしたい。  室内の湿度は40~50%をひとつの目安として、また壁の表面や内側での湿度は80%以下に保つようにするのが理想的だ。  機械換気のなかには、排気だけを機械によりおこなう排気型タイプと、吸気と排気の両方を機械によりおこなう吸排型タイプがある。排気型は、排気の力によって計画した位置より吸気をおこなう方式であり、吸排型は、そのどちらも機械によりおこなう。  ここで気をつけなければならないのは、空気を運ぶために取りつけられるダクト配管である。  排気型は捨てる空気だけをダクトによって運ぶが、吸排型では、私たちが吸う空気までダクトを利用して運ぶのである。換気装置のダクト内にはチリやほこりがたまりやすく、メンテナンスをしていないと、かえって汚れた空気が室内を循環することになってしまう。つまり、ダクト内の汚れがたまればたまるほど、私たちは汚れた空気を吸うことになるのである。  現在、住宅業界では、計画換気に関する議論は分かれるところで、考え方は各社各様だろうが、私自身は、これまでいろいろな住宅を調査し、換気計画の違いによって室内環境がどのように影響されるかを自分の肌で感じてきた結果、設計段階での自然通風計画を中心にすえ、排気型の機械換気を設置し、使用するのがベストだという結論にたどりついた。  あくまでも機械であるため、正常に稼働させるために住み手も定期的なメンテナンスの努力をおこたってはいけない。  以上、計画換気という習慣はまだなじみがないかもしれないが、住宅の性能を維持するうえでは不可欠な条件だ。そして、自然換気を効率よくできる家を建てられるかどうかは、建築会社の実力にかかっている。風の道、光の道を考えた家づくりをともにできるパートナーエ務店が見つかるまで、けっして妥協しないでほしい。

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