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リフォームしにくい日本の住宅

2018年4月17日「火曜日」更新の日記

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 日本で35年たった住宅を見た場合にどのように感じるだろうか。アンティークでどこか風情も感じる家、とされるのはごく少数だ。多くは老朽化が進んだ家と感じるのではなかろうか。だから、そんな家には住宅の営業マンが飛びこみで訪問してきたり、カタログをポストに入れたりされるのだ。  このように、そこに住む人がメンテナンスをせず資産価値を高めようと努力しないから老朽化していく、ということも確かにある。ただ住人のせいばかりにもできないのは、今の日本の家はメンテナンスがしにくいつくりやシステムになっていることだ。  実は、欧米の住宅先進国では住宅会社や材料メーカーの姿勢が日本とは大きく異なっている。欧米の住宅産業界では、メンテナンスを前提とした長命住宅を当然と考えている。したがって、メンテナンスあるいはリフォーム(正確にはリモデリングという)しやすい外装材や内装材を使用している。  これによって、ある部分を簡単に交換、改変したり、塗りなおしたりすることで住宅としての機能面、性能面を維持し、必要に応じて高めたりできるのである。  これに対して、日本の住宅は表面上は完成度は高いが、メンテナンスやリフォームがしにくい住宅となっている。だから、いざリフォームをしようとすると極端に値段が高くなってしまう。そこで人びとは経済性を考え、つい壊して新しい住宅を建ててしまうのだ。ローンの利用や税制面でも建て替えは優遇されている。  しかし住宅会社の姿勢も、そろそろ正してもらわなければならないだろう。  あなたがこの本を持って住宅会社の話を聞くときには、長い視点に立ってメンテナンス、リフォームがしやすいかどうかもしっかり聞くべきだ。そうでなければ、新築完成時に喜んでいても、10年後、20年後、あるいは30年後には後悔することになる。日本における産業廃棄物処理場のキャパシティを考えると、将来は住宅の解体すら禁止されるかもしれないのだ。そうなれば、老朽化してメンテナンスもできず、買い手もつかない家に死ぬまで住みつづけなければならない。  建築解体物の量は莫大なため、たとえ禁止されなくとも解体し廃棄する費用が1000万円台になることは十分予想される。その点から見てもメンテナンス性能の高い住宅、いわゆる長命住宅を選ぶべきなのだ。エコハウスなら長命であり、解体時にゴミを出さないため処分費用はきわめて安くなる。  中古住宅として価値が高まる長命住宅は人から人へと流通していく。欧米であたりまえの社会システムは、まもなく日本でもあたりまえになる。  今から家づくりをする人は、自分自身の資産のためにも、中古流通市場で高く評価される住宅にこだわってみたらどうだろうか。自分のために長命住宅を建てれば、結果として地域のため、地球環境のためにもなるのである。

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