へやみけ

トップ > 平成30年12月> 18日

自社株を後継者へ2

2018年12月18日「火曜日」更新の日記

2018-12-18の日記のIMAGE
この例で、Aが子Cの手腕に期待を寄せ、自分の引退後は子Cにすべてを任せたいと考えていたとします。この場合、一つの方法として、Aが有する株式850株を、すべて子Cに譲渡することが考えられます。株主は、会社のオーナーといわれ、法律上、株式会社の重要な事項は株主が決めることになっています。よって、Aが「W」の全株式を子Cに譲渡すれば、以後、たとえば取締役をだれにするかといった多くの事項が子Cの思いどおりになるわけです。ただし、この方法をとる場合、一つ手続的な問題があります。それは、「W」が閉鎖会社であるという点です。閉鎖会社というのは、株式を譲渡する場合に取締役会の承認を要するという会社です。取締役会の承認を要するという制度を、俗に「譲渡制限」と呼んだりしますが、この制度は、割と小規模な会社について、どこのだれだかわからないような人間が株主として会社経営に参画することを防止するために存在します。ちなみに、わが国では、上場会社でない会社(基本的には中小企業です)の大多数において、このような定款の定めが設けられています。さて、「W」は閉鎖会社であり、しかも取締役会が存在しますから、Aが株式を子Cに譲渡したいと考えた場合、会社法上、取締役会の承認を要します。「この会社には、取締役として、Aのほか、妻B、子C、子D、工場長のEがいます。よって、Aは、取締役会を招集し、妻B、子C、子D、工場長Eの同意を得たうえで、子Cへの株式譲渡を行うことになります。子Cの手腕がすでに他の者にも理解されており、工場の経営権を子Cに譲ることに異論が生じなければ、特に問題なく株式譲渡が行われるでしょう。

このページの先頭へ