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取締役会の承認が得られないケース

2018年12月19日「水曜日」更新の日記

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しかし、子Cが他の者(BやD)から嫌われていたり、あるいは工場長Eと経営方針が異なるといった事情があったとすると、子Cを後継者にすることについての同意が得られないかもしれません。このような事情があったとすると、取締役会の承認はとれません。Aは、筆頭株主としての地位を使い、取締役として別の人物を選任等する必要があります。また、Aが、自己の保有する株式を子Cに譲渡しようと考える場合、遺言書を書くという方法もあります。つまり、Aは公証役場に行って、「自分のもつ、Wの株式は、すべて子のCに相続させる」という内容の遺言書(公正証書)を公証人につくってもらうわけです。公証人というのは、裁判官や検事を定年で辞めた人などが就く職業で、この公証人が関与して作成された遺言書は、一般に信頼度がきわめて高いとされています。なお、Aが家族の手腕を低くみており、むしろ長年可愛がってきた工場長のEに会社を継がせたいと考える場合も、同じ手続をとることになります。つまり、Aは、工場長Eに株式を譲渡することについて取締役会での承認を取り付けるか、あるいは、遺言で「自分のもつ、Wの株式は、すべてEに遺贈する」という内容の遺言書を作成するか、です。ただし、家族ではない工場長のEに株式を譲渡するということになれば、家族は一致団結して全員反対に回る可能性もあるでしょう。Aとしては、遺言書で上記のような内容を定めておくほうがよいかもしれません。Aが子Cに事業を承継させる場合、株式の譲渡以外の方法としては、「W」という会社自体を子Cが運営するF社に事業譲渡してしまう方法や、工場である乙建物を子Cに譲渡する方法などもあります。

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