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遺留分が事業承継の障害に?2

2018年12月25日「火曜日」更新の日記

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工場の株式の価値はかつての1万倍になり、工場の株式は他の一流企業とともに東京証券取引所で売買されています。その後、Aが85歳で死亡したため、妻Bと子Dが、Cに対して遺留分減殺請求権を行使したとします。この場合、妻B、子Dがもつ遺留分は、株式が上昇後の価値をもつものとして(つまり、1部上場している株式として)計算されます。すると、Cは、株式について、大変多額な返還請求を受けることになります(どのような形で遺留分に相当する分を妻B、およびDに返還するかは、話合い等によります。株式を返還してもよいですし、現金で賠償することも可能です)。Cからすると、自分が20年間努力し続け、20年もの歳月をかけて、「W」を地方の中小企業から全国レベルの一流企業に成長させたという自負があります。それなのに、旧経営者Aが死亡するや、経営を手伝うわけでもなかった相続人(B、D)が遺留分を主張して多額の財産を得るというのは、我慢ができないでしょう。このような制度では、「いくら俺ががんばっても、どうせ、将来は遺留分として相続人にとられてしまう」と、後継者の事業の発展に対するインセンティブを奪うことになります。これでは、中小企業の事業承継が妨げられてしまいます。そこでつくられた法律が、経営承継円滑化法です。

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