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中小企業経営承継円滑化法

2018年12月27日「木曜日」更新の日記

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先に述べた民法の遺留分制度の問題に対応するため、中小企業経営承継円滑化法、という法律が制定されました。これは、一定の財産を遺留分の対象から外す、将来、遺留分を考える際に株式の価値が問題となるが、それを話合いの時点に固定できる、という制度です。「W」の例で説明します。Aが引退を全員に相談し、会社の将来をどうするか、関係者全員で話合いの機会をもったとします。そして、経営者A、妻B、子CおよびDが話し合った結果、この経営センスには類まれなものがあったことから、全員一致で「会社の将来はCに託そう!Aのもつ株式や不動産を、すべてCに承継させよう!」と決まったとします。「このとき、経済産業大臣への申請や家庭裁判所の許可といった一定の要件のもと、今後、Cががんばって会社を一流企業に育てるといっている。BとDも納得したから、会社の株式については、将来、遺留分を主張しないよ!」とか(除外合意)、「今後、このがんばりでいくら会社の株式の価値が上がっても、BとDは、この話合いの日の価値でしか、遺留分を主張しないよ!」(固定合意)と決めるのです。もちろん、BとDを納得させるために、たとえばAが一定額の現金をBとDに贈与することも多く行われることになるでしよう。このような制度により、Cにとっては経営努力へのインセンティブが与えられるので、事業承継が円滑に進められる場合があります。ただし、この制度は、「推定相続人(上の例でいえば、B~D)全員の一致」が要件となるので、適用がむずかしい制度でもあります。今後、要件の緩和に向け、議論がなされるべきでしょう。

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