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人口および世帯数の増加が止まる

2019年4月7日「日曜日」更新の日記

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20年後の首都圏のマンション需要を考えるうえで、重要なファクターは、今まで考察してきた人口あるいは世帯数の伸びといったフローの側面と、既存のマンションがマーケットに滞留していくというストックの側面があります。多くの統計データで、比較的見過ごされがちであったのが、このストックの側面です。マンションというものは、耐久消費財などと違って、一度造ってしまうと、かなり長期にわたって「存在」し続けるものです。車やエアコンといった耐久消費財はやがて製品としての寿命がやってきて、新しいものと新陳代謝を繰り返していく、その中で新しい技術がどんどん試され、製品として進化していくものです。一方で、マンションは一度、世に出ると何十年にわたって存在し、滅失しないものです。今では建築技術がずいぶん進歩して、鉄筋コンクリート造であれば、50年、60年でも風雨に耐える堅牢な建物が建築されています。中には100年住宅と言われるように、耐久性の高い素材のコンクリートも使われるようになり、一度できればその存在は永遠、と言われるようになってきました。昔の「木造住宅」が中心であった日本では、住宅は20年、30年もすれば、建て替えるのがあたりまえと言われてきたことと比べれば様変わりです。以上のことを前提とするならば、日本の住宅ストックは今どのような状況にあるのでしょうか。ここに掲げるグラフは、5年おきに総務省統計局が発表している、全国における空家数の推移を示したものです。全国の総住宅数は2008年で5759万戸。そのうち空家は756万戸となっています。空家率は13%に達しています。その数は年々増加し、この5年間でなんと約100万戸も増加しています。毎年20万戸の増加です。三大都市圏ではどうでしょうか。2008年では三大都市圏の空家は363万戸。空家率は12.1%とほぼ全国の値と一致しています。このように住宅のストックは全国的にも、また人口がいまだに集まっているとされる首都圏でもすでに十分に整った水準にあるものと予測されます。そうした中で、人口および世帯数の増加が止まる。そこに見えてくる世界はどんな絵姿なのでしょうか。

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