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生活も 「家」として成り立たないコンクリートの塊

2019年4月9日「火曜日」更新の日記

2019-04-09の日記のIMAGE
私は、震災後にある埋立地の高層マンションにお住まいの方のお話によれば、まず建物の躯体は全くビクともしなかったそうです。埋立地に建つ多くの高層マンションは建物の杭を地中深く、岩盤に到達するまで打ち込んでいますので、倒壊などの危険は通常は少ないのです。ところが、建物自体は右に左に大きく揺れたそうです。特に今回の地震は長時間にわたっての「横揺れ」が主体の地震であったため、このゆったりとした横揺れの継続は精神的に相当参ったそうです。しかし、このこと以上に高層マンションの住民を悩ませたのが、停電による電気機器の障害でした。地震発生後のエレベーターの停止により、高層マンションの、特に高屑階住民にとっては、ほぼ足を奪われた状況に陥りました。また通常のマンションではポンプで水を汲み上げたうえで各戸に水を送っていますので、電気が止まると、水が使えない。つまり炊事・洗濯はおろか、トイレの水さえも流すことができなくなったそうです。 ただでさえ、高層階まで階段のみで、我家まで到達しなければならないのに加えて、バケツに水を汲んで運ぶことを考えるならば、これはもう生活する水準ではなくなっているのは明白でした。このような天災リスクに弱い一面を見せた高層マンションですが、果たして震災後も販売は好調なのでしょうか。一部の大手業者が分譲するマンションでは販売は順調との報道もありましたが、地元の不動産屋さんに聞くと、やはり影響は出ているようで、特に中古物件が全く動かなくなったようです。新築物件では、業者側もあわてて震災対応を行い、備蓄倉庫の併設や防災グッズ、震災時のマニュアルの配布から、中には非常用電源装置の装備など至れり尽くせりの対応をしていますので、影響は少ないようにも見えますが、今後のマンションの資産価値を考えても影響が軽微とはとても言えないのが実情のようです。特に土地の液状化現象が露呈したエリアは、町を歩くと地震という天災が及ぼす様々な影響を間近に見ることができます。また、液状化現象はその時々の地震の性質によっても、発生の現象が異なることから、今回、大丈夫であったエリアが次回も大丈夫であるとの保証にはならないようです。町としてのインフラが崩壊してしまえば、せっかくの素晴らしい高層マンション生活も 「家」として成り立たないコンクリートの塊にもなり得ることを、今回の震災は教えています。

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