へやみけ

トップ > 元年4月> 16日

損害賠償を請求されても文句はいえない

2019年4月16日「火曜日」更新の日記

2019-04-16の日記のIMAGE
転勤のため、東京から名古屋に移り住んだAさんは、東京本社に戻ることが決まり、これを機に東京の郊外に家を新築することにしました。ところが契約の期限をすぎても、まだ家が完成しません。このため、東京に戻ってからすでに1ヵ月もアパート暮らしを余儀なくさせられています。業者の話では、新築工事がいくつも重なったため、工事が遅れ、あと1ヵ月はかかるとのことでした。契約を解除して、損害賠償も請求したい気持ちでいます。・解約と損害賠償を請求できる請負業者が期限内に工事を完了させることは当然の義務です。この義務を果たさないのですから、契約を一方的に解除することができます。もちろん工事の遅れによって受けた損害についても賠償請求すべきです。ただし、何力月遅れようと、工事が完成したあとだと解約できないので注意が必要です。その場合は、期限に間に合わなかったために受けた損害について賠償請求できるだけです。どんなものが損害となるかですが、東京で1ヵ月もアパート住まいをせざるをえなかったのですから、これに要した費用は当然、対象になります。また、解約すれば、新しい業者と契約をし直さなければなりませんが、その再契約に必要な費用(書類の作成費や交通費、人件費など)も請求できます。さらにいえば、物価の上昇によって工事費が値上がりしてしまったときは、その差額分も請求の対象になります。・代金を値引きさせる方法が現実的請負契約をした注文主はふつう、工事代金を・前渡し金、・中間金、・完了時の残金と分割して支払います。たぶん、・と・は支払いずみでしょう。解約すればこのうち未完成部分の代金相当額については返してもらえますが、資金力のない業者だとこれに応じられないことがあります。こういう場合は、解約せずに工事を最後までやらせ、完成と同時に支払う残金は損害を差し引いて支払う、という方法が現実的です。・注文主も約束を果たさないと解約される工事の遅れの原因はすべて、建築業者にあるとはかぎりません。注文主が契約どおり前渡し金や中間金を支払わないため、工事をストップされてしまうケースもよくあります。このような契約不履行をした注文主は、解約されたり損害賠償を請求されても文句はいえません。建築業者としても、職人に賃金を払ったり、材料を買い入れるための資金が必要なわけですから、対抗措置は当然です。そうする権利もちゃんとあるのです。

このページの先頭へ