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重大な過失がないかぎり損害を弁償させることはできない

2019年4月17日「水曜日」更新の日記

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建設現場を見に行くのが楽しみでした。念願だったマイホームが、あと1ヵ月もすると完成するのです。ところが、そんなある日、職人が捨てたタバコの吸いがらから出火して、家は跡かたもなく燃えてしまいました。当然、請け負った建築業者が責任を取って、再工事すると思っていたのですが、「資金がないので、契約金の三分の一をもう一度出してもらえないか。そうすればすぐ工事を始める」といいだされました。思わぬ追い打ちに思案にくれています。引き渡し前の事故は原則として業者の責任このような場合には二通りの考え方があります。一つは、建築中の建物の管理責任のいっさいは請負業者にあり、引き渡し前に生じた損害について注文主が負担する必要はまったくない、というものです。これは、請負業者にはとても厳しい考え方です。あきらかに第三者に責任がある場合を除き、たとえば台風で被害を受けたときも、長雨で工事が遅れたときも、その責任はすべて請負業者がかぶらなければならないからです。もう一つの考え方は、前渡し金や中間金を払うことによって、管理上の責任は少しずつ注文主に移行するので、建築途中に生じた損害は双方が負担すべきだ、というものです。どちらかというと前者は基本的な考え方、後者は現実的な考え方、といってもいいでしょう。たてまえとしては請負業者が負担すべきでも、そのために倒産でもしたら注文主も救われないからです。いずれにしても、契約するときに、不測の事態に対応する方法を具体的に明示しておかないと、あとでゴタゴタすることになります。もっとも、失火は職人の投げ捨てたタバコの吸いがらということです。請負業者の過失は重大ですから、資金を調達して一日も早く再工事にとりかかるよう要求することができます。同時に、完成が遅れることによって受ける損害を残金から値引きさせることもできます。なお、こういう場合、請負業者は従業貝の不始末を理由に、責任を逃れることはできません。仕事中の従業貝による不法行為は、会社が責任を負うことになっているからです。・引き渡し後なら業者に責任はない建物の引き渡し後は、なにがあっても請負業者の責任にはなりません。微妙なのは、引き渡しは終わったものの、注文主がまだ入居していない場合ですが、法律的には請負業者に責任はないとされています。再工事は、注文主が自費で行うことになるわけです。なお、同じ火事による消失でも、類焼によるものは、失火者によほど重大な過失がないかぎり、だれにも損害を弁償させることはできません。

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