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注文主としての責任を追及される可能性は小さい

2019年4月18日「木曜日」更新の日記

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繁華街で小料理屋を経営しています。木造の建物が古くなったので、将来のことも考え、五階建ての鉄筋のビルに建て替えることにしました。工事はいま土台づくりの段階ですが、昨日、突然「お宅の工事のため家が傾いた」と隣のパン屋から苦情を申し込まれてしまいました。おどろいて、建設工事会社に連絡すると、「たしかに、あのあたりは地盤がやわらかいので、パイル(土台の石)を打ち込むなどの方法を採っている。だから、家が傾いたりするはずはない」と、取り合ってくれません。パン屋に「責任はあんたにもある」といわれた。このことばをウノミにしてよいものかどうか判断に迷っています。予防措置は工事側の義務都市部での再開発がさかんに行われているため、最近は設問のようなトラブルが多発しています。家が密集している地域で建物を増改築するときは、騒音対策や作業貝・通行人などに対する安全対策を十分に講じることはもちろんですが、周囲の建物や土地を傷つけたりしないような予防措置もしっかりと取らなくてはなりません。もし、これらの措置を十分に取らなかったために、地盤が沈下して周囲の家が傾いたり、振動で壁などにヒビが入ったり、また建物の一部を壊したりしたときは、その損害を賠償する義務を負わされます。この義務は、まず工事を請け負った建設会社に真っ先に課せられます。建設会社が実際の工事を下請けにやらせて被害が出た場合は、指揮監督が及んでいるかぎり双方で責任を分担することになります。また、周囲の家などに損害を与えることがあらかじめ予想されていたのに、必要な指示をしなかったなど、注文や指図について注文主にも過失があった場合は、注文主にも責任があるとされます。・工事側は責任をまぬがれない設問の場合、はっきりと説明したくらいですから、建設会社は事前の調査であたりの地盤がやわらかいことは知っていたことになります。知っていたからこそ、パイルを打ち込むという措置を取ったわけですが、これで安心してはいけません。というのも、こういう工事では、地盤沈下などによって他人に大きな影響を与える危険性があることから、工事側には高度な注意義務が要求されるからです。したがって建設会社など加害者側が自分たちに落ち度がなかったことを証明して損害賠償義務をまぬがれることはきわめてむずかしくなっており、工事側の責任は一種の無過失責任に近いものになっています。ただ、地盤がやわらかいことを最近まで知らなかったようですから、注文主としての責任を追及される可能性は小さいでしょう。

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