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手付金は戻らないと覚悟しなければならない

2019年4月20日「土曜日」更新の日記

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結婚後、共働きをして住宅資金を貯金してきた夫婦は、七年目にやっとマンション購入のメドが立ちました。不動産業者の案内でいろいろと見て歩き、ある日、かなり納得できる物件に出合いました。近くに商店街がないことが気になりましたが、"住めば都"と思い切り、手付金を払いました。ところが翌日になって、奥さんが「買い物に不便だから、いや」といいだしたのです。夫婦ゲンカの末、結局「まだ契約書を交わしていないのだから」と、その物件は見送ることにしました。手付金はどうなるのでしょうか。・手付金は契約の証拠がためこの場合まず気になるのは、契約が成立していたかどうかです。契約とはなにか、考えてみましょう。契約は、売り手と買い手の意思の合致によって成立するものです。つまり一方が「売りたい」、もう一方が「買いましよう」となれば、これで契約が成立したことになるのです。契約書を作ってハンコを押さないと契約したことにはならないと思い込んでいる人もいますが、そんなことはありません。この契約書などによらない契約を、民法では諾成不要式契約と呼んでいますが、このとき証拠がためのために授受されるのが、設問で問題の手付金(証約手付け)なのです。ですから、この手付金の領収証があれば、契約の成立を十分に立証できることになります。契約はすでにりっぱに成立しているのです。・解約はできても、手付金は返らない契約は、もちろん解除することができます。しかし、買い手から解約を申し出た場合は、手付金を放棄しなければなりません。これが、一般に手付け流しといわれるものです。逆に売り手が解約したいときには、手付金を返さなくてはなりません。しかも、そのほかに手付金と同額のお金をペナルティーとして上乗せすることになっています。これが手付け倍返しです。・契約が履行されていると解約はむり…このような条件さえのめば、解約は簡単にできますが、相手方が契約の内容にしたがって、多少でも行動を起こしていると、もう解約はできません。契約行為が現在進行形になると、途中でストップさせるのはむずかしいのです。たとえば、買い手が契約金の一部を支払っていたり、逆に売り手側が登記申請をしたりしていれば、いずれも時すでに遅しでキャンセルはできません。ぐずぐずしていないで、すぐキャンセルしましょう。不動産業者が動き出す前に手を打つことです。もちろん、手付金は戻らないと覚悟しなければなりません。なお、手付金は宅地建物取引業法によって、売買代金の二割以内とすることが決められています。

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