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無理のない返還方法を考えるほうが現実的

2019年4月25日「木曜日」更新の日記

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都心のビル街に事務所を借りていましたが、先月、契約期間が満了したのを機に、副都心の大きなビルに事務所を移しました。ところが、前のビル所有者が保証金の100万円を返してくれません。電話すると「もうしわけないが、半年ほど待ってほしい」というのです。事務所の移転で大金をはたいた北野さんとしては、一日も早く返してほしいところです。契約では、保証金の返還期日は契約満了時で、年5分の利息をつけるということだったのですが……。保証金は貸してあるだけビルやマンションのテナントになると、ふつうかなりの額の保証金を取られます。この保証金は、権利金や敷金と同じように、法律にもとづかない商慣習として一般に行われているものですが、一言でいうと、家主に対する一種の貸金なのです。どういうことかというと、戦後間もないころ、貸しビル業者は、入居希望者から建設協力金という名目でお金を借り、それでビルを建てていました。その後、こういうビルの建て方は直接的にはなくなりましたが、入居者からお金を借りるという形はすっかり慣習化し、ビルの所有者は現在、保証金という名で入居者からお金を借り入れ、ビル経営の資金として活用しているのです。つまり保証金は、建物や部屋の賃貸借契約とは別個な、ただのお金の貸し借りですから。契約期間が満了になったり、契約が解除されたりしたら、ビルの所有者は返すのが当たり前です。また、保証金には利息がつきます。お金の貸し借りである以上、これも当然です。この場合は、〈100万円×0.05×5年間〉で125万円を返してもらえるはずです(利息をつけないという特約があれば請求できない)。なお、名称は保証金でも、中身は敷金という場合もあるので、契約のときによく請かめておくことがたいせつです。返さなかつたら訴えてもいい保証金の額、利息の割合、返還の据え置き期間、返還の時期・方法などは、自由に取り決めていいものです。設問のように、ビル所有者がこうして決めた契約を守らないときは、債務不履行で訴えることができます。この場合、遅滞した日数分の利息も損害として請求していいのです。しかし、最近は貸しビルがあちこちにできて、供給がだぶついています。なかには所有者もいるので、あまり強引に責めると元も子もなくなってしまうこともあります。所有者とよく話し合って、あらためて無理のない返還方法を考えるほうが現実的かもしれません。

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