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更新料の支払い義務が生ずるような商慣習や事実たる慣習は認められない

2019年4月27日「土曜日」更新の日記

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契約更新料はなし、期間は二年間、家賃月額三万円というのが、アパート入居時の契約でした。三万円はこのあたりでは妥当で、しかも更新料を取らないのは良心的な家主だと思っていました。ところが、契約期間が終わり、更新しようとすると、「更新料はいりません。その代わり、畳の表替えなど部屋やトイレの修繕は、そちらでしてください。それから家賃は五万円にしてくれませんか」と切り出してきました。これでは、更新料を家賃の値上げでまかなっているようなものです。対応策はあるでしょうか。更新料に法律的根拠はない家主や地主が六ヵ月前に更新拒否をしなかったとき、また契約を拒否する正当な理由がないときは、自動的に法定更新されてしまいます。しかし、法定更新は、借家人や借地人の保護と契約のし忘れを防ぐための特別なはからいなので、契約本来の性格からいっても、貸し主と借り主が話し合って新しい契約書に調印することが望ましいのです。双方が了解にもとづいて契約することを合意更新といいますが、これがダメな場合にやむをえず法定更新されるわけです。さて、この合意更新のとき、よく問題になる更新料ですが、借家法や借地法は更新料についてなんの定めもしていません。これは東京などごくかぎられた大都市で見られるただの商慣習です。考えてみると、貸し主と借り主はフィフティ・フィフティの立場なのですから、借り主がわざわざお金を出してお願いするというのは理屈に合いません。一部には、更新料は「正当な事由」のカンペン料・安心料であるとか、大都市ではすでに社会的慣習なのだから無視できないという考えもあります。しかし、最高裁判例は「更新料の支払い義務が生ずるような商慣習や事実たる慣習は認められない」と、これらの考えをキッパリ否定しています。更新料を要求されたら、つっぱねていいのです。貸し主は、それを理由に更新を拒否することはできません。拒否しても法定更新されます。特約があれば支払いは義務ただし、あらかじめ特約があった場合は例外です。判例は、そのような特約は有効であるとしているからです。といっても、判例が認めている更新料の額は、家賃の一、ニカ月分だということを覚えておいてください。更新料込みの値上げには供託で対抗する岸田さんのように、家賃の値上げに更新料が含まれている場合は、妥当と思う額をこちらから提示します。交渉が決裂しても、法定更新される可能性が大きいので、受け取りを拒否された家賃は供託して、対抗することができます。

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