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売り主が損害の全額を賠償する

2019年4月28日「日曜日」更新の日記

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念願だった土地つきの建売り住宅をとうとう買うことに決めました。そして契約をすませ、手付金として50万円を払いました。ところが数日後、不動産業者から電話があり、一方的に契約解除を通告されたのです。聞けば、買い値に、さらに200万円を上乗せするから、ぜひ売ってほしいという人が現れたという話です。もちろん手付金は倍返しするから、解約を了承してほしいといわれ、ガックリです。これに対抗する方法はないものでしょうか。特約があれば解約されない不動産業者にすれば、手付金を倍返ししても、新しい買い手が200万円も上乗せしてくれるのですから、そっくり100万円がプラス収入になるわけです。道義的責任はともかく、商売という点で考えれば、より高く買ってくれる人に売りたくなるのはしかたないというべきでしょう。規定どおり手付金を倍返しした場合は、これをやめさせる法律手段はなにもないのです。しかし、事前の対策はあります。契約時に次のような特約を結んでおけば、こういう一方的なキャンセルに泣かずにすみます。「買い主の承諾がない場合は、売り主は手付けの倍額を返還しても本契約を解除できないものとする」「手付けの五倍相当の金額を支払わないかぎり、売り主は本契約を解除できない」こういう特約は、手付けの効力を定めた民法の規定に反するようですが、双方が合意してのものなら、法律的に有効です。これは、もともと手付けについては任意規定であり、公序良俗に反しないかぎり、契約当事者が自由にその効力を決めればよい、という考え方があるためです。違約金を特約すると安心手付け流しや手付け倍返し(解約手付け)は、解約による違約金としての性格をもっています。しかし、解約による実損害が予想以上に多くて、手付けの倍返し程度では損害の穴を埋められないこともあります。たとえば新居のために家具を買ってしまったとか、それまで住んでいた家を売ってしまったとかした場合です。このような損害を弁償させるのは、とてもむずかしいので、万が一を考え、次のようにあらかじめ特約しておくと安心です。「解約による買い主の実損害が手付けの倍額を超過したときは、売り主が損害の全額を賠償する」内金を払えばキャンセルされない手付けと似たものに内金があります。これは代金の一部として払うもの(ふつう、代金の三割前後の額)で、これによって契約を一部履行したことになるため、キャンセルされる心配はなくなります。

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