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売り主が突然「事情が変わった」

2019年4月29日「月曜日」更新の日記

2019-04-29の日記のIMAGE
中古でもいいから土地つき一戸建てをと思っていた夫婦は、最適の物件を見つけ、さっそくその所有者と契約をしました。代金、支払い時期、支払い方法、そして物件の引き渡し時期などは、ほぼ売り主の条件をのんだため、話し合いはトントン拍子に進みましたが、物件の登記簿上の問題も調べたかったので、一週間後に契約書を作ってもらうことにして帰りました。しかし五日後、売り主から「事情が変わったので売るのはやめた」という連絡を受けたのです。だまって引き下がらなくてはならないのでしょうか。仮処分申請をすると引き渡し謂求ができるいったんは売る気になった売り主が突然、「事情が変わった」などといいだしたのは、高い値で買ってくれる人が見つかったためかもしれません。契約書を交わしていないのだからと、あきらめ顔ですが、以前お話ししたように、契約とは本来、双方の売買に関する意思の合意さえあれば成立するものです。代金の支払い時期・方法、物件の引き渡し時期・方法などについての具体的な合意がある場合は、契約書を交わしていなくても、契約はりっぱに成立していると認められます。つまり、売買に関して優先権があるのですが、ただ、これを主張しているだけでは、家と土地は自分のものにはなりません。法律的には、早く登記した人が勝ちだからです。新たな買い主に先を越されないよう、しなくてはならないことは次のとおりです。1.契約はすでに成立しているからと、代金をもって売り主の家へ行き、登記変更するよう要求する。受け取ってもらえない場合は、供託する。2.売り主が新たな買い主に家を引き渡すことを阻止するため、裁判所に処分禁止の仮処分命令の申請をする。3.売り主がすみやかに家と土地に関する所有権の移転登記手続きをし、家と土地を引き渡すことを求めて訴訟を起こす。裁判所が主張を正当と認めれば、その旨の判決がされます。この判決を登記所に提出すれば、家と土地の所有権は移ることになるのです。登記後も、売り主が引き渡しを拒否するときは、判決を裁判所の執行官に提出します。こうすると、執行官は強制的に売り主を立ち退かせ、引き渡してくれます。なお、これらの手続きは、ややめんどうな事務処理を伴いますので、弁護士を頼んだほうがいいでしょう。

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