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売却しても効力がなくなる

2019年4月30日「火曜日」更新の日記

2019-04-30の日記のIMAGE
D所有の土地を買いました。契約と同時に内金として代金の2割を支払い、残りは移転登記する日に支払う約束でした。ところが高齢だったDは、契約の3日後に心臓発作で亡くなってしまったのです。取り込みの最中は遠慮して、葬儀の10日後に訪ねると、長男が応対に出て、契約についてはなにも故人から聞いていないといいます。契約は宙に浮いてしまうのか、登記は?内金は?気が気ではありません。相続人が故人の義務を継承する結論からいうと、亡くなったDとの契約については、相続人がその履行の責任を負うことになります。相続人は財産だけでなく、故人の権利と義務のすべてを継承するのです。ですから横山さんは、相続人の一人にちがいない長男が知らない、聞いてないといい張っても、少しも心配する必要はありません。契約どおりに、残金を相続人に支払い、土地の所有権移転登記を求めればいいのです。ただ、手続きは多少めんどうです。というのも、相続人の全員から、それぞれ実印を押した登記委任状と、3ヵ月以内の印鑑証明書、権利証(登記済み証)をもらう必要があるからです。やっかいなのは、相続人が何人もいて、その人たちが全国各地に散らばっているような場合です。相続人が後を追うように死んでしまった場合も同様です。とにかく全員の実印をもらうためには、相続人一人ひとりに事のてんまつを説明する必要があります。なかにはゴネる人もいるかもしれません。相続人が死亡したりすれば、そのまた相続人が何人か現れます。ぐずぐずしていると、ゴネる人や説明しなければならない人がどんどん増えてしまう可能性がありますから、この作業はできるだけ手早く行う必要があります。拒否されたら訴訟を起こすもし相続人のなかから、「そんな契約は無効だ」などと拒否する人が現れたら、裁判所に所有権移転登記の請求訴訟を起こしましょう。訴えはまちがいなく認められます。判決を管轄の登記所に提出し、所有権の移転登記申請をすれば、すんなりと横山さんの名義に変更してくれます。この訴訟は、契約書と内金の領収証があれば立証できますので、めんどうはありません。このとき、ついでに、処分禁止の仮処分命令を申請すれば万全です。名義変更する前に、相続人が二重に売ってしまう危険性もあるわけですが、この仮処分命令が出れば、以外の人へ売却しても効力がなくなるからです。

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