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損益通算とは

2019年6月1日「土曜日」更新の日記

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損益通算とは、ある所得がマイナス(赤字)になったときに、他のプラス(黒字)の所得と合算して所得金額を求めることです。不動産所得は賃貸収入から必要経費を差し引くことで求めます。この必要経費には、借入金の利息、火災保険料や水道光熱費、管理を依頼しているときの管理費、手数料、修繕費などがあります。さらに、実際の支出を伴わない建物や付属設備の減価償却費も必要経費に含めます。賃貸事業の開業当初数年間は、これらの必要経費のうちの借入金の利息と減価償却費が大きな金額になるために、計算上、所得が赤字になることがよくあります。不動産所得が赤字になったときは、給与所得と事業所得の黒字からそれを差し引き、それでも赤字の場合には譲渡所得があればその黒字から差し引くことができます。また、それでも赤字の場合に、山林所得があればそこから差し引くこともできます。このように赤字所得を黒字所得から差し引けるのが損益通算という制度です。仮に課税される所得が二〇〇〇万円を超えているとします。すると、この人の二〇〇〇万円を超えた部分にかかる所得税・住民税の合計税率は五五%になります。このとき、不動産所得で一〇〇万円の赤字が出れば課税される所得が一〇〇万円減りますから、所得税・住民税は五五万円も軽減されることになります。なお、所得金額が少ない人は税率も低くなっているので、赤字による節税効果も少なくなります。青色申告を行なっているときは、その年に不動産所得の赤字を他の所得から引き切れなければ、三年間にわたって繰越しができるという制度もあります。ところで、以前は不動産所得の赤字がすべて損益通算の対象でした。しかし、現在は、不動産所得のうち、土地の取得に要した借入金の利息については損益通算の対象から除かれることになりました。なお当然、もともと土地を所有している人が建物を建てたときは問題になりませんし、一定の自己資金を投入して賃貸用のマンションを陥入した場合などもさほど大きい影響はないでしょう。なぜなら損益通算制度では、借入金は建物の方から優先的に借り入れたとして扱われるためです。価格に占める土地代の比率が低く、しかも自己責金を投入しているなどという場合は、土地部分の借入金の比率が小さくなり、その結果、不動産所得のマイナスに占める利息の割合も小さくなるからです。

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