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引き渡しの時期を調整すると

2019年6月17日「月曜日」更新の日記

2019-06-17の日記のIMAGE
譲渡した日、取得した日というのは、原則としてその売却側にとっては不動産の引渡しをした日、取得側にとっては引渡しを受けた日のことになります。引渡し日というのは、その日以降は物件の引渡しを受けた人が自由に使用したり、収益を上げたり、もしくは処分したりできるようになった日です。したがって登記をした日とは異なる場合があります。たとえば、土地付きの建物なら、カギを引き渡した日、あるいは取得した人が建替えのために取壊しを始めた日などがこれに相当します。ところで、選択によって売買契約日をもって譲渡もしくは取得の日とすることもできます。ただし、売買契約日といっでも、厳密には売買契約の効力が発生する日のことですから、仮にまだ物件が存在していないなどの場合には、売買契約日を譲渡日として選択することはできません。具体的には住宅がまだ建築中であるなどの場合で、土地・建物が一体で売却されるときも建物がまだ完成していなければ、仮に売買契約を結んでいたとしても譲渡日として選択することができないわけです。こうした場合は、建物が実際に完成して引き渡した日を譲渡の日とするしかありません。それでは、譲渡の日を引渡し日にするのと売買契約日にするのとでは、どのようなときにどんな差が生じるかを見ておきましよう。たとえば、平成七年に売買契約をして、平成七年中に引渡しをしてしまったとします。このときは、平成八年の三月一五日までに確定申告をしなければなりません。所得が発生していれば同じく三月一五日までに所得税を納付することになり、平成八年度中に住民税も納付することになります。しかし一方、まったく同じ日に売買契約をしても、引渡しを平成八年の一月一日以降にすれば、確定申告は平成九年の三月一五日までということになります。当然、税金もそれ以降の納付ですから、一年間税金を納める時期が伸びることになるわけです。納める税金が多額のときは、その運用益も無視できませんから、こんなときは一二月中に引き渡すより一月になってから引き渡す方が有利です。では引渡し日を選択するのが常に有利かというと、必ずしもそうではありまぜん。たとえば税制が改正されるときなどで、平成八年一月一日以降は特例が使えなくなるなどという場合には、平成七年中に契約を結び、契約日を譲渡の日とする方が有利です。また、取得する側にとっては、売買契約日と引渡し日が年をまたいでいるときは、売買契約日を取得の日とする方が所有期間が一年長くなるという利点があります。

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