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借地権・貸宅地の評価

2019年6月29日「土曜日」更新の日記

2019-06-29の日記のIMAGE
借地権とは、建物の所有を目的とする土地の賃借権のことをいいますが、借地借家法によってさまざまに保護されています。「借地契約の更新時期がきたとき、地主側に正当な事由がないと更新の拒絶ができない」「借地権は売却ができる」というように、普通借地権(以下、借地権とします)は、強く保護されています。また実際に土地を利用できるのは借地権者です。このような背景から、底地(地主の所有する権利)に比べて、一般に借地権の方が価値が高いとみなされています。しかしもう一方で、借地権が極めて強力な権利であるため地代の値上げがしにくく、土地を利用している価値に比べて地代の水準が低いのが一般的です。そのために、ますます借地している人は、土地の明渡しをしなくなるわけです。当然、借地権も相続の対象として課税価額に加えますが、借地権の相続税評価額は自用地(更地)としての評価額に借地権割合を掛けて求めます。借地権割合は、各税務署が地域ごとに決めていて路線価図や倍率表に記載されています。この借地権割合は、一部の高度商業地域では八0%、九〇%となっているところもありますが、都市部およびその周辺地域では五〇%、六〇%、七〇%のところが比較的多くなっています。一方、貸宅地(底地)の相続税評価額は、自用地の評価額から借地権を差し引いたものということになり、{(自用地としての評価額×(一一借地権割合)}の算式で求めることになります。つまり、借地権割合が七〇%の地域であれば、底地の評価額は三0%ということなのですが、ここに一つ問題があります。それは一部の商業地域を除いて、底地は借地人以外に事実上売却できない事態が起きることです。なぜなら、底地の価格に対して地代が低すぎるのが実態であり、しかも借地人に立ち退いてもらうこともできないため、他人にとってはほとんど利用価値がなく、買い手が現れないわけです。したがって、底地は借地人に売却する以外に方法がないことになります。また、売却するにしても買い主が限定されますから、評価額以下でなければ売れない場面も往々にしてあり得ます。このように底地を相続したときには、相続税を別途準備するか、もしくは売却することになります。しかし、金額が大きければスムーズに事が運ぶとは限りません。したがって、そのようなときは物納という方法を選択することも考える必要があるでしょう。なお、底地を相続したときには物納が認められていよすが、この方法は借地権を相続したときには認められていませんから注意してください。

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