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ケース貸しは一般の賃貸借より借主に不利となるか

2019年9月15日「日曜日」更新の日記

2019-09-15の日記のIMAGE
Qデパートのフロアの一部を借りて、手造りのアクセサリー店を出したいと思っています
普通の店舗賃貸借と違い、ケース貸しといって、借りる側はいろいろな面て不利だと心配する人がいますが、法律的にはどういう点にあらわれるのでしようか
▼借地借家法・借家法の適用なし他人が所有し、あるいは営業する店舗内の一部の場所、陳列ケースその他諸設備を使用し、商品、什器をおいて一定の営業を営む場合、法律問題としては、それを賃貸借と承ることができるかどうか、したがってまた、借地借家法・借家法の適用を受けるべき法律関係といえるかどうかが中心です
こうした店舗の使用関係は、①使用場所の独立性・固定性と、②使用する者の営業に対する使用させる側の干渉・支配の度合いとによって多様の型があり、一概にはいえませんが、ごく大ざっぱにいえば、デパートのケース貸型、マーケット内店舗型、いわゆる売店営業型に分けられます
そして、借地借家法、借家法の適用という面からみると、ケース貸し・売店については否定的、マーケット店舗については肯定的に解釈する学説、判例が多いといえます
デ・ハート、その他大きなビルの各階の一部を使用して営業を営む場合は、ケース貸契約、出店契約といわれますが、当該場所の使用に関する契約内容は、使用させる側の営業する側に対する干渉・支配(従業員の服務規律、販売方針、売上金の管理など)の度合いが強く、営業場所の変更、解約などもデ・ハート側の一方的な意思でできるようになっているのが通常で、使用する側はかなり不利な立場にあります
一坪でも一国一城の主というほどには、その足場は強固とはいえません
判例も、デパートのケース貸しについて、・使用する部分があらかじめ指定されていること・売場としての区画がなされているにすぎないこと・商品の種類・品質・価格等が指示され営業方針に干渉できること・営業が名義のいかんを問わずデ.ハートの所有とされること・使用人の適否についても指示できることなどを根拠として、「店舗の一部・特定の場所の使用収益をなさしめることを請求できる独立した契約上の権利を有し、これによって、右店舗の一部を支配的に使用しているものということはできないから、賃貸借または少なくとも借家法の適用を受ける賃貸借とは認められない」としています(最高裁・昭和三十・二・一八判決話学説も、ニュアンスに差はありますが、使用する側が、営業場所を占有使用する状態が継続的・独立的でないかぎり、借地借家法、借家法の適用を受けるに値する建物の賃貸借とはいえない、と説くのが大勢です

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