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ショップセンターの開業遅延を理由に契約解除できるか

2019年9月17日「火曜日」更新の日記

2019-09-17の日記のIMAGE
Q旧ボーリング場を改造してショッピングセンターができることになり、テナント九十店の募集が始まったので、眼鏡、光楽器の販店舗用として一店舗の賃貸借仮契約を結び、保証金の一部を預託しました
ところが、開業予定日が近づいてもエ事が遅れ、とうとう予定日を過ぎてしまいました
貸主側は遅延を詫びるものの開業日については言葉を濁しています
契約を解除したいと申し入れたら、支払済みの保証金は解約手付として返還しないというのです
▼債務不履行になるか否か賃貸借仮契約といっても、仮りだから本契約するかしないかは自由、というような契約はきわめてまれな特殊な場合です
建築完成をまって入居、使用するための賃貸借の仮契約は、予約とか停止条件付契約と表示されることもあり、建築完成時に本契約を締結する義務や、予約完結権の行使や条件成就によって当然に本契約の効力を生ずる定めになっているのが普通です
したがって仮契約でも、これを解除するためには、その仮契約の中で、こういう場合には解除できると定められた事由が生じたこと、あるいは、相手方に一般的な債務不履行があったことが必要です
あなたの場合は、ショッピングセンターの開業遅延が、貸主の店舗賃貸借仮契約上の債務不履行になるか否かが問題点です
一の建物であって、その建物内の店舗面積の合計が一○○○平方メートルを超えるようなものの建築には、大店法(大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律)の規制があり、営業開始時期の制限のほか、周辺の中小売業者との調整などがあって、開業遅延を来たすことがあります
大店法は日米構造協議の結果、規制緩和の方向に平成六年には大幅に改正されましたが、こうした法の規制は、事業計画時に知っているべきことですから、遅延を正当化できません
普通、仮契約または予約の中に、建築完成予定日を定めて、その時点で本契約の締結、物件の引渡しをすることになっていますが、多くの場合、「ただし貸主側の責に帰し得ない事由による工事遅延があったときは、その限度で期限を延期する」としています
ご質問では、ショッピングセンターの開業遅延の事由が定かでなく、ただ詫びるだけでは債務不履行の責は免れません

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