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八年前の小劇場の営業委託に借家法の適用はあるのか(借家法の適用を認めたケース)

2019年9月21日「土曜日」更新の日記

2019-09-21の日記のIMAGE
類似のケースを紹介しますと、東京駅八重洲口地下の映画館の営業委託について、借家法の適用を認めた例があります(東京地裁・昭和五八・九・三○判決)
このケースでは、当初売上高の四○パーセントを委託料として支払う約束でしたが、一年後の更新の時から毎月定額払いとなり、一○年間営業してきたものです
判決は、・委託者甲が映画館営業に関し、業務上の指示等の権限を有せず、現実にも受託者乙が独自の判断、計算で営業を行ってきたこと・甲は、乙から売上金の入金を受けたうえで、甲の取得額、入場税等を控除した残額を乙に支払う方法により、一定額の金銭を取得すること・甲の負担としては、映画館(建物)と諸設備を使用させることのほか、甲名義で入場税、興業組合費を払う等、乙の営業を容易ならしめるための若干の負担にすぎないことの特徴を指摘し、甲乙間の契約は、営業委託契約との名目でなされているけれども、その実質は、乙が建物を映画館営業のために使用収益し、甲がその対価的性質を有する一定額を取得することを中心的な内容とするもので、その主たる目的が、建物の賃貸借であることは明らかであるから、借家法の適用を受けるものである、と判断しています
借家法の適用があるということになると、期間が満了したからといって、当然には契約関係は終了しないで、その後は、期間の定めのない賃貸借として継続します
ですから甲としては、正当事由による解約申入れ、合意解約、憤務不履行による契約解除などで終了させなければなりません
ご質問のケースも、契約の実質、主たる目的いかん、ということになりましょう
ちなみに、判例には、浴場建物と附属物件を使用して浴場経営をする契約(貸主は経営委任契約と主張)について、浴場建物等の賃貸借と、浴場経営による営業利益の分配契約の混合契約としながら、賃貸借の色彩を多分に有すると判断して、借家法の適用を認めたものもあります(最高裁・昭和三一・五・一五判決)
なお、新しい借地借家法においても考え方は同様です

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