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転貸目的のビルの賃貸借に対する借家法適用の有無

2019年9月25日「水曜日」更新の日記

2019-09-25の日記のIMAGE
Q当社はA氏の五階建てビルを一括して賃借し、テナントを募集して転貸し、賃借料と転貸料との差額を収益としてきました
しかし、最近、A氏が当社の営業方法に文句をつけ、貸しビルの賃貸借は賃借人の居住権とは無関係だから借家法の適用はない、といって期間満了を理由に契約終了を通知してきました
なお、本契約は三年契約て、一度何事もなく更新しています
▼貸ビルの賃貸借と借家法従前から、貸ビルの賃貸借に借家法(現行法は借地借家法)の適用を否定したり、また制限する説はありますが、通説・判例は、適用を認めたうえで、争点を解釈するにあたって諸事情を考慮すれば足りる、という見解です
借家法の適用を否定する説は、借家法は、借家人の居住権、生活利益を保護するところにその制度目的があるとし、もっぱら営業収入を目的として、借家人自ら使用するためではない営業用貸ビルの賃貸借については、一般の継続的契約関係の法理に従うべきと考えます
▼サブリース式と管理委託型ビルの賃貸借において、質問のような事業形態をとる場合、いろいろな法形式が採り得ますが、大別すると次の二形式があります
①サブリース契約不動産会社などがいったん賃借人となって、ビルのテナントに転貸借を行うことによって、オーナー(家主)に賃料支払いを保証し、賃借人は、転貸料と賃借料との差額を利益として収受する形式です
②管理委託契約家主が不動産会社などに、テナントの募集、賃料の集金、ビルの管理等の業務を委託し、一定の手数料(報酬)を支払う形式です
②は、民法の委任ないし準委任の契約類型ですから、借家法の適用の有無は問題になりません
しかし、ご質問の場合は①のタイ・フなので問題になるのです
改正後の借地借家法では、事業用定期借地権が新設されましたが、事業用借家については、議論はあったものの結局特別扱いはしませんでした
最近の判例も、従前通りの姿勢です

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