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店舗賃貸借の保証金途中解約は二割償却の特約の効力(借家法の精神・公序良俗との関係)

2019年9月29日「日曜日」更新の日記

2019-09-29の日記のIMAGE
途中解約は二○・ハーセント償却とすると、仮に一、二か月後に事情があって退去する場合でも、賃貸人は二○・ハーセント(ご質問の場合だと一○○万円)を取得できます
賃借人にとっては不利な特約と認識するでしょう
少なくとも、契約期間に対応する部分(たとえば五年で二○パーセントなら、一年未満では四・ハーセント)を超える部分は、賃借人を保護する借家法(借地借家法)の精神、公序良俗違反を無効とする民法九○条に照らして無効ではないか、との疑問です
▼無効とする判例が多い賃料に比してあまりに高額な償却になる場合や、契約時に保証金とその返還方法についての説明が不十分であったり、詐欺的であったりした場合は、不合理な特約として無効とすべき余地もあるでしょう
しかし、契約時に説明があり、納得のうえ契約したときは、期間満了の場合に比べて多額の償却になっても、不合理とはいえないと判断するのが判例の大勢といえます
たとえば、ご質間のように、五年満了または途中解約時は二○・ハーセント償却とする契約で、九か月で明け渡したケースで、二○・ハーセント償却(一か月の賃料の三倍弱にあたる)を認めた判例(東京地裁・平成五・五・一七判決)があります
また、店舗賃貸借の保証金につき、三年未満で明け渡すときは二○・ハーセント償却の約定は無効とはいえないとした判例(浦和地裁・昭和六○・二・一二判決)もあります
中途解約の場合、使用期間に応じた償却按分額を算定するのが、より合理的かつ公平と思いますが、契約当初によく話し合うことが基本です

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