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住宅地と商業地の収益価格

2019年10月19日「土曜日」更新の日記

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なぜ,このような現象が生じるのだろうか。まず、収益価格について見てみよう。住宅地についてみると,都市近郊で農地を転用して建設した貸アパートなどでは,その土地は,戦後の農地解放で取得したものがほとんどであり,その取得原価はほとんど無視していいような水準となっている。しかし、遊ばせておけば、固定資産税などの公租公課の負担はかかってくる。それで,貸アパートからの収入が,アパートの建設費を回収でき,土地にかかる公租公課をまかなって、若干の利益が生ずればよい,新規に土地に投資をして貸アパート経営を始めるわけではないから,地価(時価)の何パーセントで回らなければならないというような土地の経済効率を厳密に要求していない例が大部分であり,したがって,収益還元法という経済性にもとづく物差しで測ると,極めて低い数字となって表われてくる。では、商業地の場合,新規に土地を購入して貸ビルなどを建設する場合,あるいは,建設されたビルやマンションを購入して貸し付ける場合はどうだろうか。この場合は、土地の取得原価を計算に入れて採算計画をたてなければならない。したがって,貸家経営からの収入で,土地の取得費を回収しなければならないということになる。しかし,貸家経営を終えた後で,その土地を売却するとすれば,その土地の取得資金に係る利子だけ回収できればよいということになる。そして,将来の売却時点で土地の価格が変動していないとすれば、家賃収入から,建物に係る利子その他の諸経費を控除した残余,すなわち,土地に帰属する純収益と土地の取得資金に係る利子とが見合えばよいということになる。この場合,土地に帰属する純収益を還元利回りで除した収益価格は,比準価格とは同じ金額となる。

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