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三試算価格の開差の調整・決定の仕方

2019年10月21日「月曜日」更新の日記

2019-10-21の日記のIMAGE
つぎに、積算価格であるが,大規模の造成団地の場合,デベロッパーは数年をかけて素地の買収をしており,その取得原価は取得した時期に応じて異なっている。地価の上昇期においては、当初の買収単価は低く、順次値上りして行く傾向にある。鑑定評価で採用する素地の取得価額は、造成完了時の地価水準より求めた素地単価であり,実際の取得価格(取得平均単価)を上回って計算されることになる。地価上昇期には、造成工事費も上昇することが多いが,これも同様の結果をもたらす。したがって,地価上昇期については、造成地の積算価格は、デベロッパーの実際の投資額を上回って算出される傾向にある。また,その時点での造成用の素地は、造成完了後の宅地価格の将来の上昇を見込んで高値買収されることが多いので,この時点での素地価格にもとづいて算出された積算価格は比準価格を上回ることが多い。しかし,このような構成になっているので,デベロッパーは比準価格で分譲しても採算が合うということになる。地価が下落している時期には,これと逆の現象が生じる。鑑定評価というものは、この三つのそれぞれ違った試算価格を書き並べて,これを参考にして考えて下さいといって済むものではない。これらの異なる試算価格をもとにして広い角度から検討して調整して、一つの価格(鑑定評価額)を決定しなければならない。コンサルタントとしての立場から必要なのは、鑑定評価の精密な経緯よりも,その結果として出てきた評価額,またそれをもとにして発表される公示価格をどのように解釈し,実務に役立てるかということである。これについては、次項を参照されたい。

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