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低いリスク

2019年11月12日「火曜日」更新の日記

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リスクを完全に避けることはできない。単純に資本を保管していても、それ自身のリスクがつきまとう。それはインフレである。インフレが発生して以来、「ノーリスク」ということはない。不動産の所有と経営は、他のビジネスや経済活動と同様、すべての種類のリスクに曝されている。モールのリートは、消費者の嗜好やライフスタイルの変化のリスクに直面する。アパートメントハウスのリートは、当該物件の近隣地域における供給過剰、雇用の伸びの減少に脅かされる。ヘルスケア施設のリートは政府の医療費用補填の削減政策に左右される。このようにいくつかの例をあげることができる。しかし、これらの事実にもかかわらず、もし、セクター(物件のタイプ)と所在地に多様性があれば、物件の所有者はテナント減少の失敗からある程度逃れることができる。たとえば、テナントの一人にまずいことがあっても、通常は他のテナントが現れてうまくいくものだ。この種の出来事は一九八九~九〇年にかけてリテールにおいて繰り返し発生した。それでリテール店舗のリートは事実上無傷のままであった。単にまずいことがおきたテナントにかわる新しいテナントを見つけたにすぎなかった。しかし、単一用途のためにつくられた不動産には注意すべきである。というのも、一人のテナントがそこから出てしまったら、所有者にとっては深刻な問題が発生するからだ。通常の株式の保有者は、その企業の本質的な事柄でなく、金融市場の気まぐれに関係した、別のタイプのリスクと争わねばならない。たとえば、あなたは経営が順調な企業の株を持っているとする。業績リポートが出て、アナリストの期待通りに利益は昨年の二倍になるというニュースを耳にする。しかし、ポジティブ・サプライズ(訳注・株価にプラスとなる事件、出来事)がないというそれだけの理由で株価は下落してしまう。株式市場ではかかる事態はかなり一般的であるが、リートの投資家は今日に至るまで、このような悲劇を味わったことはない。

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