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多額の権利金を支払っていれば無断譲渡は可能か②

2019年12月12日「木曜日」更新の日記

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地主が承認しないのなら、裁判所に対し地主の承諾に代わる許可の裁判を申し立てるべきです。この裁判の際には、多額の権利金の授受があった事実は十分考慮されるはずですので、今回の譲渡の相手方が暴力団等であって、地主が承諾しないのも無理はないというような特段の事情がない限り、代諾許可が得られるものと思われます。■裁判所から命ぜられる承諾料は低額ですむなお、その許可に当たっては、地代の値上げ等、借地条件の変更や借地権譲渡に関わる承諾料の支払いが命ぜられることがあります。承諾料は借地権価格の一○%前後とされていますが、あなたの場合、五年前に借地権価格相当分を権利金として支払っていますから、その点が考慮され、恐らく承諾料はかなり低額ですむと思われます。判例によれば、つい一年前に高額の名義書替承諾料が支払われたケースで、係争事件の借地権譲渡承諾料を六%としたもの(東京地裁昭六一・二・二八)、数年前に同じ借地権につき無断転貸をめぐって和解がなされ、示談金が支払われたケースで、同人への名義書替えには承諾料の必要なしとしたもの(東京地裁昭四五・一二・一)などがあります。■無断譲渡を強行すると大いに不利になる高額の権利金を支払ったのだからと、無断譲渡を強行すると、もはやその後では(つまり、建物の引渡しや移転登記がすんだ後では)、裁判所の代諾許可申立てはできなくなってしまいます。そこへ地主に無断譲渡を理由とする契約解除、および土地明渡しの訴訟を起こされますと、たとえそれが認められなくとも借地人側の形勢は大いに不利になります。場合によっては、地主が反対しているにも関わらず無断譲渡を強行したことで、地主・借地人間の信頼関係は破壊されたと認定される可能性がないとはいえません。地主がどうしても承諾しない、あるいは高額の承諾料をふっかけるときには、とにかく裁判所の代諾許可の制度を利用すべきです。

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