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譲受人に資力がないときは借地権譲渡を拒めるか

2019年12月13日「金曜日」更新の日記

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地主です。ある借地につき、借地人が引っ越すことになり、可ついては建物を自分の妹に贈与することにしたので、借地権の譲渡を承諾してほしいLといってきました。その妹というのは、年金生活をしている未亡人なので、地代をきちんと支払ってもらえるか、値上げに応じてもらえるかどうか心細い限りです。地代が滞ったからといって、あまりあこぎな真似もできませんので、そもそも借地権譲渡を承諾したくないのですが……。■裁判所から代諾許可の出される可能性がある土地の賃貸借を業としているものにとって、借地人の地代支払い能力の有無は重大な問題です。そのため、それだけの資力がない、あるいはあるかどうかおぼつかない者に借地権を譲渡されたくないというのも無理からぬ話です。将来、賃料値上げの調停や裁判になった場合にも、裁判所があなたの利益よりも、年金生活をしている未亡人の権利保護に熱心にならないとは限りません。しかし、あなたが承諾を与えなければ、恐らく借地人は代諾許可の裁判を申し立てるでしょう。その際、地主が承諾を拒絶しているのが正当かどうかも判断されますから、譲受人の地代支払い能力も問題となります。とはいえ、譲受人(になろうとしている人)にはいちおう年金が入ってきて生計がたてられるとのことですから、将来の賃料値上げにすんなり応じない可能性があるなどという漠然とした危倶があるだけでは、許可をしない決定的な理由とはならないものと思われます。■漣渡承諾料や地代の増額を借地人に明示するこのように考えてくると、あなたがこの借地人の妹への借地権譲渡を拒みとおすことはなかなかむずかしいと思われます。あなたの懸念はもっぱら譲受人の資力にあるわけですから、相手方が代諾許可の裁判申立てなどをする前に、醸渡承諾料や地代の増額などについて具体的な金額を明示し、これなら承諾をするのだがと、借地人と膝をまじえて交渉されるのが現実的かと思われます。そうしておけば、仮に相手方がその条件をのまずに代諾許可を求める裁判の申立てをしたとしても、借地権価格の一○%程度の承諾料支払いと、場合によっては地代の値上げが命ぜられる可能性が高いのですから、それを若干上回る程度の金額で交渉されてみるのがよいでしょう。また、現在の借地人に妹さんの地代支払いについて債務保旺をしてもらうことも条件の一つに加えられたらいかがでしょうか。

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