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借地人の相続人も承諾料を支払う義務があるか

2019年12月14日「土曜日」更新の日記

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借地人が死亡して、相続人の一人が借地上の建物を相続する場合でも、やはり地主の承諾を得ることが必要ですか。その際、承諾料や名義書替料のようなものを支払う必要があるでしょうか。■地主の承諾は必要なし借地権の移転という点だけを見れば、借地権の譲渡も相続も同じように思えるかもしれません。しかし、相続というのは被相続人の死亡によって、相続人がその財産債務の一切を当然に引き継ぐことですから、承諾を要するような事項ではありませんし、相続を原因とする所有権や借地権の移転は譲渡ではありません。また、借地権の譲渡に地主の承諾を要する実質的な根拠は、借地権は地主と借地人との信頼関係を基盤としているのであり、地主の関知しないところで、未知の第三者が借地人として登場してくるのは地主にとってあまりに不都合だという点にあります。しかし、これまで借地人であった者の相続人(ふつうは妻や子)は未知の第三者とはいえず、借地権の相続による名義変更を無条件に認めても、地主にとくに不利益になるとは考えられません。したがって、借地権を相続することについてはもちろん、相続に伴う借地上の建物の登記名義変更にも地主の承諾は必要ありません。すなわち、名義書替え等いかなる名目でも承諾料を支払う必要はないのです。■相続人以外の者に譲渡したときは地主の承諾が必要ただし、借地人が遺言などで、自分の相続人以外の第三者にこの借地権を与えた場合には、一般の借地権の譲渡と同様に地主の承諾が必要です。そして、もしもこの承諾が得られないときは、前述の借地非訟手続きにより裁判所の許可を得なければなりません。このときの借地非訟手続きの申立人は遺言執行者がなります。

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