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借家権を無断譲渡・転貸されたので契約解除したい

2019年12月26日「木曜日」更新の日記

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家主です。借家人が借家権を無断譲渡したり転貸した場合は、直ちに借家契約を解除することができますか。借家権には裁判所の代諾許可制度はない賃貸借契約は、貸主と借主との間の信頼関係を基礎とする契約関係なので、賃借権を譲渡したり転貸したりするときには、貸主の承諾が必要とされています。建物の賃貸借契約である借家契約もその例外ではありませんから、借家人は家主の承諾がなければ、第三者に借家権の譲渡または転貸をすることはできません。借地権の譲渡に関しては、貸主の承諾に代わる裁判所の許可(代諾許可)の制度がありましたが、借家権の譲渡に関してはこのような制度はありません。無断譲渡・転貸でも契約解除できない場合とは一般の賃貸借契約において、賃借人の無断譲渡や無断転貸があるときは貸主は賃貸借契約を当然に解約できますが、建物の賃貸借(借家契約)のときは必ずしもそうはいきません。借家契約の場合には、無断譲渡・無断転貸が行われても、家主と借家人との信頼関係を破壊するに至らない特段の事情がある場合には家主は契約解除できないとされているからです。たとえば次のような場合には、無断譲渡・転貸だけを理由に契約解除が認められる可能性はまずありません。①これまで個人で営業していた借家人が法人成りして法人組織に変更しても、事実上の同一性が認められれば、信頼関係を破壊するとはいえません。なお、借家人がはじめから会社の場合、その代表者が代わったとしても、借家人である会社自体が同一なので、そもそも譲渡、転貸とはなりません。②借家人夫婦が離婚し、その妻のみが居住を続ける場合には、たとえ借家契約の名義人が夫だったとしても、信頼関係が破壊されたとはいえません。③これまでも借家に同居していた親族や住み込みの家政婦さんなどに建物の一部を転貸した場合には、従前の建物利用状況と変化がなければ、家主との信頼関係を破壊したとはいえません。ただし、建物賃貸借契約の態様、家主・借家人の事情は千差万別ですから、①?③に該当すると思われる場合でも、事前に家主の承諾を得ておくに越したことはありません。本来どのようにしても借家権の無断譲渡・転貸は許されないのですから、争いを避けるためには多少の承諾料の支払いも必要です。

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